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エロス+虐殺[ロング・バージョン]

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エロス+虐殺[ロング・バージョン]

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エロス+虐殺[ロング・バージョン]

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  • ・新規会員様は単品レンタルクーポンを1枚付与され、好きな作品を1枚無料で楽しむことができます。
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『エロス+虐殺[ロング・バージョン]』に投稿された感想・評価

3.8
最近どの映画を観てても眠くなる。薬の副作用かなとも思うのだけど、この作品はきつかった。信じられないショットの連続で、目を逸らしてはいけない中、ある種昼メロになりそうなテーマが笑っちゃうくらい深刻に描かれてたのだからもっと面白いはずなのに⋯。何度もわけて観たため、レビューは3.8です(実際の価値は5.0でしょう)。

以下、作品の概略
​吉田義重によるこの映画は、大正時代の無政府主義者・大杉栄の情愛と暗殺事件を追う「大正パート」と、それから約50年後の若者たちが大杉の思想を追体験しようとする「現代パート」が並行して進む。
■​大正パート: 大杉栄と、彼をめぐる3人の女性(妻・堀保子、愛人・神近市子、同志・伊藤野枝)の「四角関係」を描く。大杉が提唱した「自由恋愛」が、嫉妬や執着という泥沼の中で「日蔭茶屋事件(刺傷事件)」へと発展していく。
■​現代パート: 1969年の若者(具正、亜希子)が、大杉たちの生きた軌跡をリサーチし、時には大正の登場人物と対話するように介入する。過去と現在が同じ画面に収まるシュールな演出。

この頃の史実に詳しくないので少し調べました。
□日蔭茶屋事件 1916年、神近市子が日蔭茶屋で大杉の首を刺した事件。 映画のクライマックス。神近(劇中では正岡逸子)の葛藤が執拗に描かれる。
□大杉・野枝の最期 1923年、関東大震災の混乱の中、甘粕正彦ら憲兵隊に虐殺された。 タイトルの「虐殺」はこの結末を指してるようだが、映画では具体的な惨殺シーンは描かれない。
□青木野枝(伊藤野枝) 彼女は単なる「恋人」ではなく、非常に知的な活動家。 岡田茉莉子が演じる野枝は、因習を打破しようとする強烈な意志を持つ女性として、リアリティを持って描かれている。
※劇中、神近市子が「正岡逸子」に変更されているのは、当時、存命だった神近氏から上映差し止めを求める訴訟(プライバシー侵害)が起きたため。、一部シーンのカットや改名が行われた。

以下、キャスト(役者)
​※吉田監督の妻であり、伝説的女優である岡田茉莉子の存在感が圧倒的で美しい。
​大杉栄: 細川俊之(知的だが飄々とした男)
​伊藤野枝: 岡田茉莉子
​正岡逸子(神近市子): 楠侑子
​堀保子: 八木昌子
​具正(現代パートの青年): 高橋長英
​亜希子(現代パートの女性): 岡田茉莉子(二役)

​現代パートは公開当時の1969年の設定。ベトナム戦争、学生運動(全共闘)、ウーマンリブ運動が最高潮に達していた時代にあたり、吉田監督は、大正のアナーキズム(無政府主義)と、1960年代末の閉塞感をリンクさせようとしたようです。
​吉田監督は篠田正浩、大島渚と並ぶ松竹ヌーヴェルヴァーグの一人ですが、本作はその頂点とも言われています。
​長谷川元吉による映像は本当に素晴らしく、画面の端に人物を追い込んだり、本来なら「障害物」になるはずの柱や壁を前景に置いたりする構図や手持ちキャメラの神業的なカメラワーク等は相米慎二や森田芳光にも多大な影響を与えた気はします。この映画の特徴は、背景が白く飛びそうなほどの高輝度なライティングです。ハイコントラストの画作りで、眩暈を覚えました。また、緊張感あふれる劇伴は、一柳慧によるもの。

​現代と過去を往還するメタ構造は、寺山修司とも似てますがゴダールは意識してるようです。
現代に生きる自分としては、こうした革命と恋愛を巡る物語が、『チェンソーマン』『閃光のハサウェイ』そして山本直樹『RED』等のサブカルチャーでしか描かれないのは残念な気持ちでした。もちろんサブカルを否定はしていませんし好きなのですが、そろそろこうした硬派な実験的映画を実写で観たいなと思うのは難しいのかな。

​テーマは大杉栄の「自由恋愛」なんですが、これについては現代の感覚ではついていけないかなと思いました。漫画家山本直樹がエログロに走る革命を描いたように、革命闘争はともすれば愛憎劇になるという典型の作品です。そう思うと、革命に成功したゲバラは恋愛にも成功したのかもしれません。
輸入Blu-rayにて再鑑賞

日本映画における前衛表現の可能性を極限まで押し広げた、吉田喜重の最高傑作。
アートシアターギルド(ATG)が日本映画史に残した功績を語るうえで、決して避けては通れない作品である。

本作を観ると、前衛的な映画表現とは、単に難解であることでも、奇抜な映像を並べることでもないのだと痛感させられる。
吉田喜重が試みたのは、映画という媒体が持つ時間と空間、そして物語の構造そのものを解体し、再構築することだった。
大正時代のアナキスト・大杉栄と伊藤野枝をめぐる思想と愛憎の関係を軸にしながら、物語は過去と現代を自在に往来する。

しかし、それは単純な回想や歴史の再現ではない。
異なる時代に生きる人間たちの思想や欲望を交錯させることで、歴史を過去の出来事として固定するのではなく、現在においても問い直されるべき問題として提示している。

とりわけ圧倒されるのが、その映像表現だ。

大胆な余白を生かした構図、画面の端へと追いやられる人物、意図的に崩された空間の均衡。通常の映画であれば違和感として処理されるような構図が、本作では独自の緊張感と美しさを生み出している。

登場人物を画面の中心に据え、観客の視線を自然に誘導するという映画の基本的な文法を、吉田はあえて拒絶する。
その結果、観客は物語を受動的に追うことができなくなる。
映像の意味を自ら探り、人物と空間の関係を読み解き、断片的に提示される思想を結びつけなければならない。

つまり本作は、観客に理解を与える映画ではなく、観客自身に思考を要求する映画なのだ。
また、題名に掲げられた「エロス」と「虐殺」という二つの言葉も、単なる愛欲と暴力の対比ではない。
個人の自由を求める欲望と、それを抑圧しようとする社会的な権力。性愛を通じて既存の秩序から解放されようとする人間と、その自由を脅威とみなす国家や社会。
両者の衝突は、政治的な思想と個人的な欲望が決して切り離せないものであることを浮き彫りにしていく。

吉田喜重が描く性愛は、単なる肉体的な関係ではなく、社会の規範に対する抵抗の可能性を孕んでいる。
しかし、その自由への希求が必ずしも他者の自由を尊重するとは限らない点にも、本作の複雑さがある。

解放を唱える人間が、別の誰かを束縛してしまう。

理想と欲望の間に生じる矛盾を、吉田は安易な結論へと収束させない。

そして、こうした思想的な複雑さを、説明的な台詞ではなく映画の形式そのものによって表現していることに、本作の真価がある。
日本のヌーヴェルヴァーグやATG作品群には、既存の映画産業や社会秩序に対する反抗精神が色濃く刻まれている。
その中でも『エロス+虐殺』は、政治性と実験性、そして純粋な映像美を極めて高い水準で結びつけた作品ではないだろうか。

映画は必ずしも物語をわかりやすく伝える必要はない。

時間は直線的に流れなくてもよい。人物は画面の中心に存在しなくてもよい。歴史は過去として完結していなくてもよい。
そうした既成概念を根底から揺さぶりながら、それでもなお一本の映画として成立させてしまう。
その大胆さと完成度には、ただただ圧倒される。

前衛的であることを目的とした映画ではなく、表現の必然性を突き詰めた結果、前衛的な映画へと到達した作品。
『エロス+虐殺』は、日本映画が世界に誇るべき芸術的達成のひとつであり、吉田喜重という映画作家の才能が最も鮮烈に結実した最高傑作だと思う。
人
5.0
好きという言葉だけでは、この映画を見終えた感覚は説明しきれない。

歴史を描いた映画でも、思想を語る映画でもない。そのどちらも抱え込みながら、なお人間という存在の曖昧さだけを静かに見つめ続けた作品だった。

過去と現在が何度も交差し、現実と記憶、事実と想像の境界さえ溶けていく。その構成は決して観客に優しくない。それでも不思議と置いていかれる感覚はなく、むしろ「歴史とは一本の線ではなく、無数の視点が重なってできた断片なのだ」と語りかけられているようだった。吉田喜重は物語を整理することを拒み、その混沌そのものを映画という形式に刻み込んでいる。

何より圧倒されたのは画面の美しさだった。

夏休み1本目

『エロス+虐殺[ロング・バージョン]』に似ている作品