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ゴッドファーザーのbonpiのレビュー・感想・評価

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
5.0
学生の頃南イタリアの旅行に行ったときに父がこれは全部ゴッドファーザーの景色だなーー言いながらゴッドファーザーという映画の素晴らしさを語ってくれたのが見たきっかけでした。
初めは父の解説が必要でしたが、見ていくうちにどんどんと深みにハマりもう何十回も見ています。この映画を見たらどの映画も面白く感じなくなってしまうくらいの傑作です。

知恵袋で以前見つけたコメントがゴッドファーザーをまだ見たことのない人に最適なコメントをされていたので引用します。

以下引用

あれはコルレオーネ家、またマフィアというものの歴史を知らなければ薄っぺらいものになってしまうんです。
コッポラはもちろんわかっていて、それを随所に散りばめてはいる。
マフィアは自警団であり市民兵だったんですよ。スペインやフランスの横暴から住民を守る組織。ただそれは表立ってやればすぐさま標的にされるから、互いに組織の一員であることを話さないというオメルダという沈黙の掟があった。
それが外国の脅威を外された時に、住民のトラブル調停などを請け負う組織になり、徐々に犯罪にも手を染めることも多くなっていた。沈黙の組織の弱点でもありますね。
さらに組織同士の抗争も置きていくんですが、それを描いたのがビトーの幼少時の体験ですね。あそこにマフィアの原点があるんです。
組織、家族を守る集団であり、そのためには死をも辞さないというものだと。
ビトーはアメリカへ渡るわけですが、そこで自分は何者なのかということを証明していく人生になるんです。それは家族を守り、同郷の人間を守る者だと。そのためには命を懸けても構わないのだと。
その生き様に感動するわけで。それに最も感化されたのがアル・パチーノ扮する、マイケルですね。
マイケルの生き様は、ビトーの鏡なんです。しかし現代アメリカ社会の急激な変転がビトーの生き方をマイケルにさせなかった。
守る者であるはずのビトーの生き方を必死で踏襲しようとするんですが、アメリカ社会は力で奪う社会に変貌を遂げたんです。組織はそれに合わせなければ生き残れないことになった。
そのマイケルの苦悩が見えなければならない。
何度も若きビトーの映像が織り込まれるのは、そういうことなんですね。ビトーには出来た。でも自分には出来ない。ビトーのようにならなければならん。その苦悩なんです。
原作のマリオ・プーゾはマフィアの恐怖を描きましたが、コッポラはそこに人間の涙を見出した。だからこその名作なんです。
あれを単なる犯罪組織の物語と観れば人生には何の得るものもない。しかし人間の涙の物語と観ることが出来れば、人生は大きく変貌する。あのビトーの魂がマイケルの苦悩と共に心に刻まれることになる。
自分は何者なのか。それを問い続け、証明し続けるのが人生なんですから。
ああ、日本のヤクザ映画も同じですよ。今は犯罪集団でのし上がる成功哲学に汚染されたものばかりになりましたが。昔のヤクザ映画は違う。だから「仁侠映画」といわれていたんですから。
人間の情と義とを描いた名作が多いんです。戦争映画もそうですが、命懸けの場面になると、人間の本質が浮かび上がるんです。自分大事なちんけな生き方か。人間の価値観を抱いた者なのか。だから映画の題材としては不滅のテーマなんですね。
ああ、忘れていた。あのニーノ・ロータの哀愁の音楽。あのテーマソングこそがあの映画の全てです。あの音楽を聴いて魂が震えない人間はあの映画の何もわからない。
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