長靴を吐いたネコ

カルネの長靴を吐いたネコのネタバレレビュー・内容・結末

カルネ(1994年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

※ネタバレ全く自重していませんので、今後観る予定のある方は読まないことをお薦めします。
**********
【カルネ】 (動画)
1991年
総合評価 3.1 → ☆3.1

「シナリオ」 (1.0) … 2 → 2
「演出全般」 (1.2) … 4 → 4.8
「心理効果」 (1.5) … 2 → 3
「視覚効果」 (1.1) … 3 → 3.3
「音響効果」 (0.9) … 4 → 3.6
「教養/啓発」 (0.8) … 3 → 2.4
「俳優/声優」 (0.7) … 3 → 2.1
「独創性」 (0.8) … 4 → 3.2
**********
【ストーリー】
発達障害気味で喋らない娘が生まれると同時に妻が失踪した馬肉屋の主人が、献身的な子育てと肉屋の営業を両立していくが、ある誤解から娘が暴行されたと勘違いして、無実の市民に暴力を働いて逮捕される。保釈金で解放されたものの、店を失った主人は行きつけのカフェの女主人に雇われて愛人化する。娘は施設で暮らす。
**********
【魅力】
・短い
・独創的演出
・心理学的考察

【不満】
・特になし

【印象に残ったシーン・台詞】
「ATTENTION! 感受性を傷つける危険な部分があります」
**********
【少し突っ込んだ感想】
円盤がレンタルでも手に入らないので動画にて。字幕を高校生が必死に作ったらしく、大変参考にはなったものの、若干違和感を感じる部分があり、内容の理解に影響しているかも。

不器用な馬肉屋の主人の視点が中心で、所々独白的に内面が漏れる。子煩悩で勤勉な一面を見せておきながら、時折凶暴性を発揮するので、初見ならばそのギャップに心理効果があるかも。

しかし、続編「カノン」において、このオヤジは10倍ぐらいの凶暴性を発揮し、15倍ぐらいドス黒い内面を独白しているので、正直「カノン」のインパクトには程遠く、今となっては前日譚的な位置づけといった印象しか受けないかも。

演出においても、銃声音やテロップなど、「カノン」において印象的でセンスを感じるものは「カルネ」でも利用されているので、相似型な映画と言えるかも。ただ、その点でも「カノン」の方が圧倒的に演出を効果的に活用しているので、やはり「カルネ」は物足りなく感じる。

ただ、「カノン」よりも薄味で上品なモノを望むなら、「カルネ」の方が好みかもしれない。論理深度も明らかに「カルネ」の方が高く、観る人を選ぶ名作としては軍配が上がるかもしれない。両者に共通するテーマは「馬肉屋の主人」だけど、「カルネ」は特に馬にこだわっている。受身な娘の世話も、まるで馬の世話のようだし、他、馬を連想させたり馬のキーワードそのものを使う頻度は高かった。馬に造形が深い人なら、もっと哲学的意図を汲み取れるのかも。
**********