爆裂BOX

パンプキンヘッドの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

パンプキンヘッド(1988年製作の映画)
3.4
田舎で食料雑貨店を営みながら男手一つで息子ビリーを育てるエド。ある日、町から来た若者達のモトクロス競争に巻き込まれビリーが死んでしまう。エドは復讐を決意し…というストーリー。
「ターミネーター」や「エイリアン2」「プレデター」の特殊メイクや特殊効果手掛けたスタン・ウィンストンの監督デビュー作です。町から来た若者一行に息子を殺された男が黒の谷に住む老婆ハギスの力を借りて復讐を果たしてくれる伝説の悪魔パンプキンヘッドを蘇らせて復讐を行うものの…というオカルト入ったモンスター映画ですね。
何といっても主役であるパンプキンヘッドの造形が素晴らしいですね。エイリアンをミイラにしたようなデザインですが、長い頭蓋骨と翼のように突き出た肩、鋭く細長く伸びた指や逆関節など、流石スタン・ウィンストンだけあって拘りを感じさせてくれる造形ですね。顔の作りこみもしっかりしてて、表情変化が豊かなのもいい。エドと対峙した時のニヤリとした邪悪な笑顔が印象的。手足の長さを活かして屋根の上や木の上から人間を鷲掴みにして引っ張り上げたり、犠牲者の頭を鷲掴みにして引きづったり樹上から放り投げたりして見せます。バイクごと人間持ち上げて放り投げる怪力ぶりも披露。ただ、体型から着ぐるみの人もあまり派手に動かせないのか、犠牲者の殺害シーンが結構似たり寄ったりになっていますね。ライフル腹に突き刺して盛り上げる所が一番印象に残ったかな。ちなみに名前の由来はカボチャ頭だからではなくカボチャが生い茂る墓地に眠ってるからだそうで。
犠牲になる若者達が、ビリーを轢き殺した張本人のジョエル以外は店に電話ないので山小屋の電話で連絡させようとしたり、事情説明のためその場に残ったり比較的まともでしたね。ジョエルに連絡邪魔されて結局皆巻き込まれますが。
また、復讐を依頼した者は犠牲者の苦痛を味わう事になり、そのビジョンも見る事になるという代償を払う事になる設定も面白い。これによって江戸が復讐を依頼したことを後悔し、何とかパンプキンヘッドを止めようとする展開になるのも一捻りあって面白い。ハギスの「復讐する者は何の苦しみもないと思ったか」というセリフも印象に残ります。パンプキンヘッドと依頼者がリンクして依頼者がダメージ負うとパンプキンヘッドもダメージ負うのもいい。この復讐する代償や復讐の虚しさも盛り込んだことでバカな若者がモンスターに皆殺しされるホラーと思わせて一捻りある展開になってますね。
ランス・ヘンリクセンもカッコよくて良いですね。息子の遺体を抱いて若者を睨みつける鬼の形相や終盤の悪魔の様な顔もインパクトあります。
スモークやフラッシュを活かしたダーク・ファンタジー感強い幻想的な映像も見所。墓地のシーンは「ペット・セメタリー」彷彿します。
復讐する者は救われず、高い代償払う事になるラストが悲しい。契約した後、息子の死体が起き上がって「パパ、何をしたの?」というシーンもなんか悲しかった。
派手さはあまりないですが、ストーリーも意外としっかりしてて、何よりパンプキンヘッドのデザインは一見の価値ありですね。