ぴんじょん

必死の逃亡者のぴんじょんのレビュー・感想・評価

必死の逃亡者(1955年製作の映画)
5.0
上質のサスペンスを楽しむ。

平凡な家庭に三人組の脱獄囚が押し入ります。
命の危険に晒された家族と、必死に逃亡しようとする脱獄囚との息詰まる駆け引きが見事。
監督は『ローマの休日』でも有名なウィリアム・ワイラー。
家族を守ろうとする父親、脱獄囚を逮捕しようとする警察、そして、何とか逃げ切ろうとする脱獄囚たち、駆け引きとすれ違いの攻防劇にはらはらしどおし。
脱獄囚に押し入られた家の間取りが見事に生かされています。
黒澤明の『用心棒』の茶店みたいです。

最初は何の気なしに10分ほど見ようかなと思っただけだったのですが、なんと、ぐいぐい引き込まれてついに最後まで見てしまいました。
脚本の見事さもあるのでしょうが、主演の脱獄囚を演じるハンフリー・ボガートがやっぱりいいです。
悪辣だけど、どこか人の心をひきつけます。
対する、父親。
警察を全面的には信ずることなく、とにかく自分で自分の家族を守ろうとします
そうか、アメリカはこうして自分たちを守ろうって考えるんだな…と、アメリカのものの考え方がちょっと見えたような気がしました。

ところで、1955年、ハンフリー・ボガートが三人組も脱獄囚を演じた作品と言えば…。
なんとコメディ映画『俺たちは天使じゃない』もそうじゃないですか。
同じような設定で、正反対の作品に出演するとは、さすがボギーではありませんか。

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