必死の逃亡者の作品情報・感想・評価

「必死の逃亡者」に投稿された感想・評価

郊外に暮らすサラリーマンの家庭に、銃を持った脱獄囚たちが押し入ります。仲間から逃走資金が届くまで彼らは家族を人質に、その家に留まることを強要。一つ屋根の下で繰り広げられる、脱獄囚と家族の静かな攻防を描くサスペンスで、3人の脱獄囚のうちリーダー格の男をハンフリー・ボガートが、サラリーマン家庭の父親をフレドリック・マーチが演じています。

映画は、主にこの二人の心理戦を軸に展開しますが、いわばこの二者の対決はアメリカ社会の、ブルーカラー(労働者)とホワイトカラー(サラリーマン)の対立の構図とも言えます。それは二人の出会いのシーンにおいて、ボガートの「お前のその、白いハンカチと白い靴が気に入らないんだ」とのセリフにも表れています。大金持ちというわけではありませんが、父親は秘書を持つ企業の管理職で、二階建ての広い家に自家用車が二台。(保険のCMに出てきそうという意味での)理想的なアメリカの家庭です。

フレドリック・マーチが常にスーツ姿である一方で脱獄囚達は汚れたワークシャツや作業用のツナギ。そして脱獄囚の一人はボガートの弟であることからも、そもそもがボガート兄弟の生まれが、決して恵まれたものでは無かったことを暗示させます。

本作の邦題は『必死の逃亡者』ですが、原題は『The Desperate Hours』。 ”Desperate”には、〈自暴自棄の、捨てばちの、死に物狂いの〉と言った意味の他に、、〈(…が)ほしくてたまらなくて、たまらなくて、(よくなる)見込みがない、絶望的な〉という意味もあるようです。

もちろん息詰まる攻防の時間を、”Desperate”としているのでしょうが、しかし、この映画をブルーカラーとホワイトカラーの対立だと考えた場合に、恒常的に”Desperate”な状況に追い込まれているのは、圧倒的に前者です。Desperate な生活の果てのDesperateな犯罪、そこからのDesperateな脱獄に、Desperateな逃亡。すべてが絶望的な状況の綱渡りなわけです。

その綱渡りの先に、彼らが目指したものは何なのかと言えば、まさに、この押し入った家庭の中で彼らが目のあたりにする、豊かなアメリカン・ライフだったのではないでしょうか。

ボガートの弟は、籠城中でありながら、キッチンでは無邪気にラジオを聴き、また、この家族の美しい娘に仄かな恋心をいだきます。もっともその両方が、彼には手の届かないものであるわけです。弟よりも年嵩のボガートは、それをよく理解しています。(逆に、未だ諦めきれない弟は、その希望故に、やがて命を落とすことになります。)

劇中でもっとも映画的に美しいショットは、脱獄囚たちが追い詰められた後半、床に叩きつけたラジオを蹴り飛ばすボガートの足をクローズアップです。その一瞬のシーンに、この映画の核が表れているように思われます。
郊外の平凡な家庭に、突然3人の脱獄囚が押し入ってきた。
仲間の情婦が金を届けるまで家族を人質にする脱獄犯たち。
極限状態に置かれた犯人と家族の息詰まるサスペンス。
USK

USKの感想・評価

4.3
欲を言えば、ハンフリーボガートの脱獄を観てみたかった。がそれは一つのシャリに二枚大トロを重ねるに匹敵する贅沢w

ひたすら犯人と被害者家族の駆け引きを魅せられるのだが脚本面がしっかりしており、次の展開を期待させられる。

隠れた名作。
なお

なおの感想・評価

3.0
サスペンスとしてはハラハラ感が物足りないかな。
家族を命がけで守るお父さんが素敵でした。
Santa

Santaの感想・評価

5.0
とても味わい深く楽しめました🎉🌟🌟🌟🌟演技もストーリーも完璧サスペンス☝️
Jnhgtr

Jnhgtrの感想・評価

3.8
最後、悪役だったはずのボガートに一挙に感情移入してしまう仕掛けに鮮やかに嵌ってしまった。
平凡な家庭にある日突然災難がおとずれる。三人の脱獄囚に籠城され、妻や子が人質に捕られるなか、ひとり孤独な戦いを続ける男の物語である。

脱獄囚のリーダー扮するハンフリー・ボガートと一家を守る父役のフレドリック・マーチとの攻防戦は火花を散らすかのごとく、最後まで目が離せない。

とにかくフレドリック・マーチが素晴らしい。圧倒的な不利な状況でも、常に冷静さを失わず、反撃の機会をうかがう姿は、まさに"知将"の域に達している。

対峙するボガートも紋切り型の悪役ではなく、自分を逮捕した捜査官に復讐を誓う反面、実の弟のことを常に気にかけている人情的な面も併せ持つ人物である。ふと見せる哀愁をおびた表情も印象的だ。
ウィリアムワイラー六作目。
ハンフリーボガードは、刑事か粋な役の方が好きだけど本作は脱獄犯として家族とやり合う。
わーっと盛り上がる箇所は無いけど、面白い。
とても面白かった!サスペンス映画の傑作だと思います。 ボギーが有名だからかボギーが主人公みたいに配役が一番にクレジットされてますが本当の主人公は家を脱獄犯たちに乗っ取られたお父さん役のフレデリック・マーチだと思います。この二人の演技がまさに必死って感じで良かった!可愛い盛りを過ぎたプチ反抗期のまだ幼い下の子とボーイフレンドが出来た年頃の長女を持つ平凡なアメリカの家庭が脱獄犯たちに占領されピンチに陥ってしまいます。家族それぞれが自分の家族を守ろうとする姿勢に涙。ボギーが最後までやらかしそうでドキドキ。
のん

のんの感想・評価

3.7

実話を基にしたベストセラー小説の映画化作品。

郊外に暮らす幸せな一家に、3人の脱獄囚が立てこもったところからの展開がスリリングで面白い。
1955年の作品なのだけど、特別強いわけじゃない父親、どれも中途半端なワル3人が今どきの同種のものよりかえってリアルに感じた。

ハンフリー・ボガート、個人的に悪役がはまってると思う。
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