「私たちの生活なんて嘘だらけなのね」
傍目(外)から見て、良いキャラクターだなと思わせるには何かしら欠点がなければ現実味があるキャラクターとして存在できない。その欠点を見せているのが家族や友人、古くからの知り合い(内)であるというのがなんとも人間臭くて現実味がある。そのくせマドンナ(外)という好意(外)が愛(内)に変わる以前のキャラクターに対して、猫をかぶって(外として)接してる点も含めて。
そういう人間関係の機微を、丁寧かつ飾る事なしにに描いてるからこそ、ここまで親しみのある愛されるキャラクター像にできているのだなと思います。
さくらというキャラクターの美味しい所もふんだんに活かされている。寅次郎、博、マドンナ、おいちゃんおばちゃん(家族)に対して的確な答えを出せる、言わばお助けキャラのような。1番現実味がないともいえるかも。現実において、少なくとも劇中で僕らが見れる部分においてだけは人間離れしていて、人ではなく"キャラクター"として存在しているかのようにも思える。逆にそこまで思わせれば人として存在してるとも言えるけど。
そういう色々を端的にかつ笑えるコメディとして成立させているのがそもそもにして凄い。
あ、あと夕子があっさりと帰っちゃう所。今じゃこうはできないなと思う。個としての幸せに重きを置く時代では。
心情に寄り添うような寄りのカットも良い。