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明日、君がいないのkotoのレビュー・感想・評価

明日、君がいない(2006年製作の映画)
5.0

凄い映画を観た、そう思った
ずっと観たかったんだけど 後を引きずりそうで何となく避けてて、三年越しにやっと観ることができた。知るきっかけとなった映画ブログでは洋画版リリイシュシュと紹介してて、リリイシュシュが好きだったので気になってたけど、本当に本当に凄かった。これを監督が撮ったのが19歳だったということがまた凄い、2歳上なだけ…

始まりは、ある一人の生徒の死から。それは誰かは明かされない所がまたおもしろかった この監督はストーリーだけじゃなくて、構成の上手さが凄い。かなり重い話なのにするすると話を紡いでく、だいたい6人の男女が登場するけど、それも一人一人描き分けてて、インタビュー形式で振り返るように次々と登場するけど、分かりにくくない。それにその6人が同じ場所で繋がって、話が進んでいく構成には本当に驚かされた。

同性愛、近親相姦、スクールカースト、身体障害、差別、色んな問題を抱えた生徒が出てくる。これでもかってくらいどうしようもなく暗くて重い。ある一人の生徒が言った言葉がずっと印象に残ってて

"友達や家族がいても、何かあったとき本当に物凄く、大変なことが起きたとき、独りぼっちだって思う。誰にも話せない、話したとしても分かってもらえない、何も知らないから 時にはどうしても言えないこともある。そんな時、どうする?"

この言葉がこの映画の全てだと思った。悩みって表面上に視える物だけじゃない、本当に抱えてる問題は案外誰にも言えなくて、自分で抱えてかなきゃ仕方ないって思ってしまう、特にこんな年頃は。明るく振舞って一見元気そうに見えたり、なんの悩みもなさそうに見える人ほど孤独を抱えてたりする。

ラストのシーンまでは本当に息を飲む流れだった。するすると校舎内を歩いていく、その中に今まで起きたことが散りばめられてて、話しかける、悩みを聞こうとする、でも誰にも伝わらない、届かなかった。一番孤独を感じてたのは、一体誰だったんだろう?目に見える物だけが全てじゃなかったんだと皆、後から気付かされる。

哀しい話だった でも凄く好き。ティーンエイジャーにしか撮れないリアル、昔を忘れた大人が想像で描くそれとは確実に違う剥き出しの生々しさがあった、DVD買って何度も観たい
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