
長沢樹太(大倉琉人)は、音楽教室を営む目の見えない母・花江(板谷由夏)のもとで、音楽とともに育った少年。美しい歌声を持つ樹太だったが、変声期を迎えたことで、自分の声だけでなく、これまで当たり前だった日常も少しずつ変わり始める。唯一心を許せる存在は、幼い頃からいつも一緒に過ごしてきた親友・大也(原田琥之佑)。近所で喫茶店を営むケン(笠原秀幸)の店で語り合う時間は、樹太にとって何より大切な居場所だった。しかし、樹太が胸の奥で抱いていた大也への淡い恋心は、大也が恋や将来へと歩み始めたことで行き場を失い、樹太は言葉にできない孤独と喪失感を募らせていく。 大也との関係の変化、そして母との暮らしにも閉塞感を抱えた樹太は、幼い頃から母の話の中で憧れを抱いていた、会ったことのない父・雷太(深水元基)を訪ねて東京へ向かう。父から届いた荷物の送り状に記された住所を訪れると、そこは風俗店が入る雑居ビル。戸惑う樹太の前に現れたのは、派手な装いの女性・舞奈(久保田紗友)。舞奈に導かれながら街を巡り、ついに父・雷太と再会を果たす。しかし、そこで待っていたのは、母から聞かされてきた父の姿とはまったく異なる現実だった。 変わりゆく声、揺れ動く恋心、そして初めて知る家族の真実――。いくつもの「はじまり」と「さよなら」を経験した樹太が、その先にどんな未来を見つけるのか。音楽とともに、自分だけの一歩を踏み出そうとする少年の物語が始まる。
©2026 映画「はじまりのさよなら」製作委員会