COZY922

ハスラーのCOZY922のレビュー・感想・評価

ハスラー(1961年製作の映画)
3.5
賭けビリヤードの世界に身を委ねて刹那的に生きる男の物語。

大金を擦り, 友が去り, 文字通り痛い目にあっても、あと少しで勝てたはず, このままでは終われない, と懲りない主人公エディ。彼を見ていると勝負は引き際が肝心なんだなと思う。攻め時と引き際, 執念に近い情熱と冷静な状況判断のバランス。ゲームに限らず仕事でも何でも、手強い相手に立ち向かうよりも、むしろ引いたりやめたりする判断のほうが難しいということって確かにある。特にうまくいっている時ほど、引く判断は難しいものだ。が、判断を誤るとどうにもならない深みにハマったり大き過ぎる代償を支払うことになる。そのことがよくわかる映画だった。

エディは凄腕ハスラーゆえに、自分の腕に酔い、芸術的なショットでボールを弾く自分の姿に酔っていたのだろう。自己陶酔したり自暴自棄になったりするエディにボールニューマンがハマってました。この時まだ30代。くわえタバコもサマになってて滲み出るような色気はどの作品でも感じるけれど、もう少し歳を重ねてからのほうが、よりカッコいいですね。『スティング』はこれより12年も後だけど、『スティング』のボールニューマンの洗練された大人の色気のダダ漏れ具合はハンパじゃなかった。クラクラした(笑)。それに比べると本作ではまだ垢抜けないというか野暮ったさが同居する色気という感じ。

ラストシーンのエディ。勉強代というには大き過ぎる”代償” を支払って後悔はしても、必ずしも成長はしていないように見えたけれど、どうなんだろうか。トムクルーズとの共演『ハスラー2』も見なくては!
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