サイババ

砂の女のサイババのレビュー・感想・評価

砂の女(1964年製作の映画)
3.5
砂の世界にどっぷり浸かってきた。
ぼーっとトラムの窓の外を見てみると、
窓についた雨も、窓に反射する僕のチェックのシャツも砂に見えてくる。

このトラムも砂の中なのだ。

そう思うと目に入ってくるスマホの文字の一つ一つも砂だし、周りに立っている通勤帰りの人々も砂だ。

砂漠の中、自分は楽しみを見つけられるだろうか?抜け出したいかと問われれば、抜け出したくは無い。

みんなこの砂の中に埋もれている。
今日はかななり湿った砂だな。

砂が僕の降りる駅をアナウンスしている。トラムから僕が降りる。砂が流れ出す。

そうだ、砂の流れゆくまま、砂になった僕も流れに身を委ねるだけだ。

世の中砂地獄の中だ。
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