砂の世界にどっぷり浸かってきた。
ぼーっとトラムの窓の外を見てみると、
窓についた雨も、窓に反射する僕のチェックのシャツも砂に見えてくる。
このトラムも砂の中なのだ。
そう思うと目に入ってくるスマホの文字の一つ一つも砂だし、周りに立っている通勤帰りの人々も砂だ。
砂漠の中、自分は楽しみを見つけられるだろうか?抜け出したいかと問われれば、抜け出したくは無い。
みんなこの砂の中に埋もれている。
今日はかななり湿った砂だな。
砂が僕の降りる駅をアナウンスしている。トラムから僕が降りる。砂が流れ出す。
そうだ、砂の流れゆくまま、砂になった僕も流れに身を委ねるだけだ。
世の中砂地獄の中だ。