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バティニョールおじさんのnanakoのネタバレレビュー・内容・結末

バティニョールおじさん(2002年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

1942年、ナチス占領下のパリ。いけ好かない娘婿候補の手にのり、隣人のユダヤ人家族がスイスに逃げるその時に、足止めをする事になってしまったバティニョールおじさん。後で気が付き・・・

良いお話だったと思います。おじさんとシモン少年の交流がなんとも心温まるほどの普通さで、心配と同時に色々考えさせられました。

後で気が付いたおじさんがなんとも後味の悪い思いをしていると、そのユダヤ人の子供シモンが訪ねてきます。親が命がけで逃がしたんですね。
おじさんはちょっとぶっきらぼうなお総菜やのおじさん!いるねーこういうおじさん!というタイプ。
だけど悪い人ではないんです。後味の悪い思いがあってか、シモンを匿い食事を与え、色々手を焼きながら手をつくし、スイスに送ろうと影ながら努力します。

でも、二人ともびっくりする程普通のおじさんと子供。
おじさんが経緯に対して『勇気があるのね』と言われ、『成り行きだよ』と答えますが、それは間違っていません。ほんとはそんなに勇気もない一般市民なんだけどドイツ軍はやっぱり好きじゃないし、俺を頼ってきちゃったんだからしょうがねーや!やるさ!という感じで、とても好感が持てました。

シモン少年も、ちょっとは自分の置かれた状況を考えようよ!と思うくらいの少年らしさ。世界がどうなっても子供はあれで良いと思います。変に大人の顔色を窺わないおもしく賢い子でした。

そしてその二人が(成り行きからシモンの従姉妹の女の子二人も同行)スイスに無事逃げるまでのお話ですが、この二人の普通さがかえって、戦争や占領の異常さを浮き彫りにしています。妙に気を使うことなくぶつかるおじさんとシモンの旅が素敵でした。本当の親子でもないのに、良いコンビです。
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