作品を一貫しての古典的な作りが渋く、浸れる作品です。
特に時代感を再現した美術と撮影技術がすごい。
淡々としつつ、しかしユーモアも交えて物悲しい人物像と彼が起こす事件を綴る。
事件に関わってくる人物には癖のある描写が多く、どことなくエドの心境に吸い寄せられます。口火を切ったが最後、事態の悪化を繰り返していく。その様子をごくごく自然な流れに感じました。
日常を受け入れられず、それ故の行動から逃げ道を失っていく様子が非常に巧妙に描かれています。
唯一の救いになるかと思わせるピアノ少女への支援もうまく進む事はなく、「彼が期待するもの」の空虚さが浮き彫りになる。
彼が自身の平凡さに我慢ならず、抱いた欲は誰の心にもあるようなほんの些細なもの。
冷笑的に彼の行く末を眺めましたが、鑑賞後には自戒の念が。
因果応報という言葉がこれほど似合う映画もないような。
