映画おじいさん

鬼火の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

鬼火(1956年製作の映画)
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人がどれほど崖っぷちに居るかなんて他人には分かりゃしないことを描いた傑作中短編。不幸を分かってもらえない不幸。

清川玉枝が寿司をもぐもぐ食いながら「素人の女でも、気があったとしても一度二度は断るもんなんだよ」と加東大介を諭すシーンは、ほのぼのとした中にもドロリとしたところがあって心に残った。

女房の尻に敷かれつつも女中をてごめにする中村伸郎などなどキャスティングも最高。

千葉泰樹監督は本作を観た観客がどう思うかをどう思って製作したのだろう。時代背景を含め映画を超えたところにまで興味が湧いてしまう邦画史上に残る強烈映画。