鬼火の作品情報・感想・評価

「鬼火」に投稿された感想・評価

mingo

mingoの感想・評価

4.2
脚本が菊島隆三だもん私の中ではイーストウッド並みのテッパン作家、にしたって3年前のヴェーラでの千葉泰樹特集でもかからなかったフィルセン所蔵「鬼火」中編SP作品として完璧に近い出来。ラピュタでは何度かやってるのか、コメディとホラーの間を駆け抜ける真似できない傑作。ガス代を巡る
千葉泰樹15本くらいしか観れてないが千葉の独特さがかき消され加東大介のお茶目さと、お茶漬けの味や七人の侍にも出てるが縁の下の力持ちな印象の津島恵子の、2人の相反するイメージが見事に物語を作り上げ、ラストのまさかのシーンには絶句。思い返してみると、冒頭のうだる夏の暑さに輝くアイスキャンディーの真っ白さがあまりにも不気味すぎる。それを食べてしまったことから始まる怪奇物語としても捉えられるのか、なんて考えすぎか。モチーフと起承転結が完璧な中編作品、おすすめ。
今までのSPの感じでゆるっと観るとど偉い強力パンチ喰らうわ、これが千葉泰樹…これが東宝ダイヤモンド・シリーズ…めちゃオモロイ。46分の中篇ということで一つ一つのモチーフやフリが鋭く示唆的、善/悪両方持ったいい奴でも嫌な奴でもない至って普通のガスの集金人が、良心と出来心とに揺れながら危ない線をゆき続けその延長線上で出くわしてしまう悪夢よろしくの悲劇。汗がダラリと垂れる真夏の描写の息苦しさに、日照ってんのにぬかるむ道、揶揄いもがれる白い花の居心地の悪さ。加東大介アップの顔の圧も今回に限っては不安を煽る。
戦後の泥臭くて暑くて女性の人権も命も軽んじられてる夏、儚げな津島恵子と、なんら悪気のない加東大介を観てて切なくなった。帯のくだり。
吉屋信子の原作がまずどうなっているのか気になった。

ガス代の集金業者の話。
加東大介力。
夏真っ盛り、汗だくになりながらガス料金徴収のため各家庭をまわる加東大介
訪れたとある家庭では長年夫が病気で伏せっており貧乏の極みでガス代が滞っていた
そこで加東大介は美しい妻に邪な心を抱き、ガスを止めない代わりにわかるでしょ?今夜家に来なさいと持ちかけるのであったが、、、

上映時間が46分しかない、ということですがシンプルながらも見所の多い良作に仕上がっています

調べてみたら「東宝ダイヤモンドシリーズ」なるものの第1作目、二本立ての併映用に短い中篇作を作っていたらしい、このあいだ見た「下町」もこれに当たるんですね、尺が短かった理由がわかって勉強になりました

今作ではタイトル、劇中の伊福部昭の音楽といいおどろおどろしい感を出していて、それ故にその結末は予測できるものではある
ただ主演の加東大介のキャラクターが明るくおばかで小心者なので笑えちゃったりするところも多いんです、魔が差したというか、よりによってそこにいくかみたいな、柄にないことをするもんじゃないですね
ちなみにこの作品がきっかけで「大番シリーズ」の主演に抜擢されることになったとか
名脇役のイメージ強い役者さんですが、愛嬌が魅力的で他の主演作も見てみたいですね

夏の暑い時期にヒヤッとした気分を味わうことができる良作です
のん

のんの感想・評価

3.0

重病で寝たきりの夫を抱えて困窮している人妻に対し、ガスの集金人が料金を勘弁する代わりに肉体を要求したために起きる悲劇を描いた作品。シンプルでストレートな貧乏描写は、昭和レトロとモテはやされる前の昭和枯れススキ。

たまたまルイ・マルの「鬼火」の前と併せて見たのでその差に感慨を覚えた。
(ちなみに「鬼火」という言葉自体の使われ方はやはりこちらの映画がしっくり)

「この人絶対見たことあるけど誰だっけ?」って思ったらなんと津島恵子。薄幸のエロス。
人がどれほど崖っぷちに居るかなんて他人には分かりゃしないことを描いた傑作中短編。不幸を分かってもらえない不幸。

清川玉枝が寿司をもぐもぐ食いながら「素人の女でも、気があったとしても一度二度は断るもんなんだよ」と加東大介を諭すシーンは、ほのぼのとした中にもドロリとしたところがあって心に残った。

女房の尻に敷かれつつも女中をてごめにする中村伸郎などなどキャスティングも最高。

千葉泰樹監督は本作を観た観客がどう思うかをどう思って製作したのだろう。時代背景を含め映画を超えたところにまで興味が湧いてしまう邦画史上に残る強烈映画。
作品冒頭にも出てくるけど、ふとした行動が他人をとんでもなく追い詰めてしまうのを見事に描いた名作と思う。出演者も豪華。

「SPスペシャル」@ラピュタ阿佐ヶ谷
「吉屋信子と林芙美子 女流作家の時代」@神保町シアター
加東大介が汗だくで歩きながら集金するシーンでかかる曲が、のちのスーパーX3のテーマだったのでシネマヴェーラでズッコケた。
加藤大介がガス会社の集金係りと言う立場を生かし、不幸な人妻とよろしくやろうとする中編映画。
夏のうだるような暑さがよく表現されてる。
ラスト、怖い。
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