名もなき技術者

海峡の名もなき技術者のレビュー・感想・評価

海峡(1982年製作の映画)
2.2
青函トンネル開通に向けて現場で指揮を執る土木屋の物語。
OPの、九州地方から津軽海峡までカメラを動かし、津軽海峡で止めて「海峡」というタイトルが出るのは最高。
阿久津の家族との関係・阿久津のトンネル工事における悩み・主人公の阿久津と老齢だが腕利きのトンネル屋「源助」の協力と対立・阿久津と牧村の恋模様・洞爺丸事故で両親を失った仙太など様々な物語を突っ込みすぎたせいで、どの物語も薄味になってしまったのが残念。
阿久津と源助の協力と対立・阿久津の悩みは見応えがあったので、阿久津の仕事模様だけにフォーカスしたほうが良かったと思う。仙太の物語を本作に入れていたが、彼の成長がほとんど描かれていなかったし、牧村と阿久津の関係も必要性はなかった。
本作で人が死んだのは材木の輸送時とトンネル内でのトロッコから物が落ちてきたときだけだが、実際にはもっと人は死んでいる。そうした点に苦しみながら進む阿久津を見たかった。また、20年を超す長工期であるが、工期のシーケンス少なくて物語の連続性が感じられなかった。この作品よりも、プロジェクトX青函トンネル編を見たほうが良いといっても過言ではない。
最後に、トンネル開通時のBGMに重厚感がなかったのだが、開通と言う重さを感じさせるようなBGMを流すべきだと思った。