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条理ある疑いの彼方にのspacegomiのレビュー・感想・評価

条理ある疑いの彼方に(1956年製作の映画)
3.8
マッチポンプで冤罪被って司法制度の欺瞞と業績にしか目がない検事の不正義を暴いてやろうぜって話なんだが、関わる人物それぞれの私情が巧く絡み合う点も見もの。これだけのボリュームを80分に収めるだけでもうエラい。キャバレーのシーンの影と煙草の煙、車のバック→炎上までのショットの連鎖は白眉。
どんでん返しってのは画面上に提示されているのはほんの断片にすぎないはずが、大きな物語や真実をわかったような気になる観客の態度を問いただす。映画を物語るという行為そのものがマッチポンプになっていて、裁判における陪審員と映画をみている観客が最後にぴったりと重なるのが、なんというか心地いい。
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