ウシエルとウシファー

パーフェクトブルーのウシエルとウシファーのレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
4.2
これはやばい映画
84点

前に観たのは多分10年以上前
たぶん20歳前後の頃

当時もやばい映画だと認識してたけど朧気にしか覚えてなかったのと、映画に対する解像度が今より低かったので、ただやべーおもしれー、くらいにしか思ってなかった気がする

今、改めて鑑賞すると2000年前後のじっとりした空気感と、頭がやられそうになる難解なカット構成と、ショッキングな描写に心拍数を上げ続けられる

結局どうなったの??あのシーンは現実ではどうなってたの??って気になってしまう部分もあるけど、
未麻自身も恐らく病んでるのでそれを視聴者が正確に知り得ることはきっとないんだろうな
だって正常な精神なら最後に「私が本物」なんて言わないよ

理想の自分と現実の自分の乖離という誰にでも悩みの種になり得る現代的なテーマを扱っているので本当に怖い
あんな精神状態なのになんで休ませてもらえないのか、と思う事もあるけど、実際はどうな現実なのかもわからないので何も言えなくなる

多分本当の現実は一瞬だけ示される、未麻も自分がモデルの姉だと思い込むようになった、って世界線なんじゃないかな

虚実乱れる映像表現は、ジャンルは違えど千年女優と通じるものがあって、かなり完成されていて初の長編監督とは思えない所業

今敏監督の映画を観る度に、監督が生きててもっと新しい映画を観られる世界線がよかったと本当に何度も思う

素晴らしい映画体験でした