のもちゃん

フィラデルフィアののもちゃんのレビュー・感想・評価

フィラデルフィア(1993年製作の映画)
4.3
とても重厚な作品!であり、多くを考えさせられた。
登場人物の言葉の全てに深い意味が有り、短いどの場面も何かの訴えが有るので、画面から目を離せ無かった。
「普通(?)の愛に同性者間の愛は含まれない!」と固く信じる人達(被告人となった法律事務所社長、街中の一般人、等)の言葉は、人間が感じてしまっている本音を表しているので「酷い言葉だ」と一刀両断出来ない。
一方、主人公の家族やパートナー、そして弁護を引き受けた有色弁護士の言葉の数々は、どれも深い意味や温かさがあって、私だけでなく、見る人の心に訴えたはず。
世の中に差別は数々ある。かつては酷い黒人差別があった。多くの人がそれを無くすための努力を重ねた結果、明らかに黒人差別は減ったが、無くなった訳ではなく、違う人種への差別が新たに生じ、ネット社会が産み出した差別も次々と出てくる。
この作品でも、色々な種類の差別が炙り出されている。性的趣向の違いから生じる差別、伝染病患者に対しては正しい知識に欠けるが故の差別、王道?の人種差別も。偏見に囚われた古い知識や習慣を見直し、今自分は何か差別していないか?を常に心の片隅に起き、時々それを引き出して考え直さなければ…と思わされた。
それにしても、トム・ハンクスはエイズの進行を表現するための減量を重ね、やり手の弁護士を表わす精悍な顔から天に召される前の柔和な弥勒菩薩のような顔に変えた。すごい俳優だ!
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