Rita

ギルバート・グレイプのRitaのレビュー・感想・評価

ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)
3.6
青年の葛藤と心の成長を描いている。

アイオワ州の田舎町に暮らすギルバート。彼は知的障害を持つ弟アーニーと、夫の自殺から立ち直れず7年間も外出しなくなった肥満の母、そして2人の姉妹たちの生活を支えていた。家族の世話に追われる日々。ある日、トレーラー・ハウスで旅する女と出会う。彼女と過ごすうちに、彼は自らの生活を見つめ直していく。

ギルバートが自分のことよりも家族を優先している姿が見ていて辛かった。確かに今の家族の中で家族を支えていけるのは兄であるギルバートしかいない。だけど彼の心の中にも町から出て自由な道を進みたいという葛藤もあると思う。"自分の望みは?"と聞く彼女にギルバートは"いい人間になりたい"と言う。ギルバートは客観的に見ても良い人なのに彼自身そうなりたいと思わせる訳はなんだろうか。

知的障害の少年を演じるレオナルド・ディカプリオが凄く良かった。彼のリアルな演技が、この作品をより現実的なものだと思えた。観賞していると、自分でも気づかないうちにギルバートを見ていると辛さが伝わってきて、観賞していると頭が重くなってしまう。

ギルバートがついカッとなってアーニーを殴ってしまった場面があった。翌日、アーニーは18歳の誕生日を迎え、ギルバートは反省して家に帰ることにする。妹にアーニーの居場所を尋ねると、木に登ったアーニーを見た妹が"どこかしら?"と微笑む。ギルバートはアーニーのゲームだと気づき"アーニーは?誰かアーニーを見たかい?"と叫ぶ。"Boo!"目の前に木から飛び降りたアーニーに抱きつき自然と仲直りする。一番好きなシーンです。
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