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ギルバート・グレイプのArkのレビュー・感想・評価

ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)
4.5
2023-58
ギルバートには兄と姉と弟と妹がいるが、長男は独立して家を出ている。弟のアーニーには知的障害があり、主にギルバートがそばで面倒を見ている。母親は父親が首吊り自殺をしたときを境に過食症で肥満になり、1人で歩くのも困難な程で、人々に好奇の目で見られている。家庭に縛られて暮らすギルバートと、10歳以上は生きられないと医者に言われたにも関わらず18回目の誕生日を迎えようとしているアーニーの物語。


ネタバレ含む↓

ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオという、今ではありえない組み合わせ!今2人をキャスティングしようすれば合計いくらになるのか考えるけど想像がつかない。

2人ともめっちゃ若い!!私が今まで観た中で1番若いし、初期の頃だ。
この頃のジョニー・デップは若いしスタイルもいいし、めっちゃイケメン。ロン毛似合うし……。ディカプリオは当時19歳だったが、それより若く見える。

父の自殺、それに伴う母の重度の肥満、知的障害で扱いが難しい弟。ギルバートは家族の誰よりアーニーの扱い方を分かっていて、多くの時間を共に過ごし根気よく接する面倒見のいい兄。一方で、家族のことに精一杯で自分のことを考える余裕がなく、精神的にも肉体的にも家族に縛られている。
そんな生活を送る中でベッキーという女性と出会い、心優しく誠実な彼女と接するうちに心の平穏を取り戻していく。

ママ死ぬなぁと思ったら死んだので予想通りすぎた。父の自殺も、過食症も肥満も、誰も悪くない。好奇の目で見られるのも自然な話。全て自然の成り行きなのだ。予想出来ていればそうはならない。誰も悪くないけれど、現状は苦しい。誰も悪くないからこそ、やるせない気持ちになる。

ディカプリオの知的障害の演技がめっちゃ上手。叫び方、動き、走り方まで似てる。話し方や声の出し方、表情や動きで、感情の機微が手に取るように分かるほどしっかり演技しているのがすごい。19歳で、レインマンのダスティン・ホフマンに匹敵する演技が出来るとは恐ろしい恐ろしい……。
ジョニー・デップの役どころはシンプルに好きなタイプなので、ずっと観てられる。

脚本のピーター・ヘッジズはルーカス・ヘッジズの父。
何気にこういう、心で観るような静かな映画も大好きなので、ヒューマンドラマ系はどれもそうだけど、こんな何気ない日常を描いた脚本を書けることに尊敬する。
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