このレビューはネタバレを含みます
武士道残酷物語
まずは中村錦之助にブラボー
時代劇を現代劇でサンドイッチするという構造。新鮮で見応えあり。
開始1時間20分あたりが、救いようなさ過ぎてやばい。
「残酷」の主語は何か?
・例えば修蔵。
妻も娘も奪われて、さも「残酷」の被害者のように見えるけど、
実は修蔵自身も娘を道具のように扱って、加害者でもある。
→残酷な世を生きるためには、人もまた残酷にならざるを得ない、ということか?
・この映画において、男は時に女を虐げる側になるが、女が加害者になることはない。女はいつも徹底的に虐げられる側。
家老「何事も辛抱。己を抑えることが肝心じゃぞ」
修蔵「侍は主君あっての侍なれば、己は常に無きものと知れ」
封建社会に、主君に虐げられて酷い目に遭ってきた男が、どうして息子に「これからは自由に生きろ」と言ってあげられないのか。
・犯されるシーンとかノコギリのシーンはほぼ無い。叫び声なんかもほぼ無い。残酷という割に、残酷描写はほぼ無い映画。
それだけに、殿様の恍惚とした表情がやばい。(語彙力)
あー胸糞。『切腹』以来の胸糞。
色々受賞してるぽいが、これが外国の人には響くんかなあ。
2022.9
96