hayanomidori

ソラリスのhayanomidoriのレビュー・感想・評価

ソラリス(2002年製作の映画)
2.9
こちらのバージョンは初めて観ました。
72年タルコフスキー版は20年前に衛星放送で。

惑星ソラリスの海に変な薄暗く巨視の知性があって、なんでか人間のトラウマから感知した故人等を物理的に再現して再交流させる。
そもそもトラウマを抉る人物しか蘇らせないので、再交流しても嫌なことばかり。殺しても追放しても次の日シレッと帰って来るのでノイローゼになる。
人間はその現象に太刀打ちしようと分析してみたり議論してみたり。

惑星ソラリスの海は、それ自体が1個の生き物で、地球人とは全く次元の違う知性+超能力を持つ妙な生き物。そこの上空に居る限り、人間はそいつの齎す嫌な怪現象に振り回される。

私ならそんな面倒臭い星は捨ててとっとと帰るけど、ソラリス上空に居座ってわざわざ太刀打ちしようとするのが映画とか小説とかの醍醐味なのかな。

72年タルコフスキー版は50年前の作品ということもあってか低予算で頑張って作った大掛かりなセットが頑張った感があって面白かったです。

2002年版のこちらの作品はセットやCGが充実していて、主演は黙って立ってるだけで雰囲気が滲み出るジョージクルーニーを迎え、(72年版の退屈な長尺と違って)話がそこそこ展開して行き、エンタメ色が強い。

原作者のナントカ・レムさんは72年版のタルコフスキーとは大喧嘩、2002年エンタメ版の作品にも不満をエッセイで公開したようです。
小説のテーマの1つである「罪悪感」という抽象的な心理の具体的な映像化は、どんな手法をもってしても難しいのかも知れません。
絶対文句言われるに決まってるのに映画化したチームは勇気あるなあと思いました。
またいつか勇者が現れて別バージョンのソラリス映画を作ってくれたらいいなあ。
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