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八日目の蝉のmokaのレビュー・感想・評価

八日目の蝉(2011年製作の映画)
4.2
ただ暗いだけの話ではなく、決して許されることのない深い愛情が、限られた状況の中で儚なくも美しく描かれている作品だった。
自分が産んだ子供ではないのに、愛する人の子供だというだけで、自らの立場を不利にしてまで、あれほど健気に愛を与えられる母性に深く感銘を受けた。
小説を読んだ後に鑑賞したのだが、映画ではとにかく島の情景が美しかった。
灯籠流しの川や棚田の連なり、高台からの景観や家並みや港、崖の傾斜の神社といった島のあらゆる景観の美しさが印象に残っていて、どんなささいな場面でも、その景観の美しさの相乗効果によって感動的に感じられ、どこか懐かしい気持ちになった。
私自身、日常のしがらみから逃げて、島でこじんまりとした一生を送りたいと常日頃から思っているため、島での生活はささやかな幸せに溢れているように見えた。
事の発端は父親の不倫だったが、成長した主人公もまさにその不倫関係に陥いるために、いやでも運命のやりきれなさを感じさせられた。
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