やっぱりカルカン

八日目の蝉のやっぱりカルカンのレビュー・感想・評価

八日目の蝉(2011年製作の映画)
3.6
いつぞや(2016年?)の金曜ロードショーの録画を視聴。この映画を見るのは2回目。

切ない映画だった。
2回目なのにラストでウルっときてしまった。私はしばらく経つと、見た映画の内容を忘れてしまう事が多々ある。でもこの映画はストーリーや展開をほとんど覚えていた。

始まってすぐのシーンがオチ(主人公の現在から始まって過去に遡っていく構成)なので、これからどうなるんだというドキドキ感は無い。最初はそれが微妙に感じたが、改めて見てみるとあらかじめ結末が分かっているぶん登場人物の気持ちや考えだけに集中して想いを馳せることができて、よかったような気がする。

Wikipediaによると「1993年(平成5年)12月に発生した日野OL不倫放火殺人事件が本作のヒントになっている」とのこと。これは今まで知らなかったので、先程検索して衝撃を受けた。
恐らく参考にしたのはあくまできっかけの部分なので、この映画が主に伝えたいテーマとはあまり関係がないものと思われる。

昨今「親ガチャ」という言い得て妙なワードが一人歩きしているが、この子は親ガチャを2回引いたようなものだと思った。
「幸せってどういう人生の事を言うんだろう?」と考えさせられるような映画だった。
慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」に預けられた男の子が最近顔と名前を出して話題になったが、温かい家庭に引き取られて立派な青年に成長していた。
2回目のガチャは大当たりだったのだ。
この映画の主人公もそう。

私も実の両親に育てられなかったので複雑な部分もあったが、実の両親に育てられたからといって必ずしも幸せとは限らないし、他人でも自分を大切にしてくれる人はいる…
これはわざわざ書くまでもなく当たり前の事かもしれないが、私は周りの人に恵まれなかったのでその辺がよく分からない。
私は2回とも「ハズレ」だった。
正直どちらか1回だけでもいいから当たりたかった。人を信用することができないため、もう手遅れだ。
この映画の主人公は若く、新しい未来にやがて輝く命もある。これからの人生前向きに生きて欲しいし、大事なのは今までどう育ってきたかよりも「これからどう生きるか」なのだと思った。