ベティー

レッド・ドラゴンのベティーのレビュー・感想・評価

レッド・ドラゴン(2002年製作の映画)
3.5
開始早々のものすごいテンションで一気にハンニバルワールドに引き込まれる。ハンニバル・レクターシリーズ3作目、原作ではこちらが第1作目だそうです。

進行中の猟奇殺人の犯人、追うFBI捜査官の主人公、獄中で助言するレクターという構造は「羊たちの沈黙」と同じだが、主人公とレクターが敵対関係にあるところが面白い。

助言を得ようとする捜査官に対し、獄中から捜査官を殺そうと企むレクター。会話のなかにも自分をぶち込んだ捜査官に対する復讐心や、犯罪を見抜かれた敗北感、才能への嫉妬心が現れていて、挑発的なレクターの人間らしさが見ごたえあり。

本作の殺人犯は、コンプレックスやトラウマなど様々な問題を抱える男で、家も仕事もあり社会的弱者でないが人間関係をうまく作れず、幸福とは縁遠い生活を送っている。ある意味とてもいそうな感じのする殺人犯で、終始悲しみが漂い痛々しい。バッファロー・ビルみたいなキチガイ系のほうが観ていて楽だな。

そんな犯人の前に現れる一人の盲目の女性。この女性との関係性で生まれる犯人の心の葛藤や行動はこの話のとても大事な所。なのに、ラストの流れはむりやり盛り上げるために殺人犯のキャラクターをぶちこわした感じがあり、残念。原作はどうなのかな?まあこのシリーズの犯人はしょせん引き立て役なので全体の違和感はあまりないんだけど。
ウィリアム・ブレイクの時代不明感の画風が不気味さを一段と引き立てていい。
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