映画おじいさん

機動捜査班の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

機動捜査班(1961年製作の映画)
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警視庁からノロノロと出動するパトカー群。まったく緊張感のないオープニング。何が始まったわけでもない段階から安っぽさまでも感じる…。

「なに! 盗んだトラックなのか!」みたいな子供でも分かることを大層な口調で話す二本柳寛とか、わざとやっているのかな。

他にも、お人好しな内田良平、その妹のブラコンな吉行和子など、好きな俳優さんたちなのに皆んな魅力がなかった。

数少ない印象的なシーンのひとつは、キャバレーの前に立っていた踊り子に水溜りの水をぶっかけた車の運転手に、丹波哲郎が恐喝に行くところ。抵抗もせずにお金を払おうとする運転手に「おっ!おまえ気前がいいんだな」と驚いた表情の丹波哲郎。

物語は内田良平とムショで仲良くなった丹波哲郎が、相敵対する近松組についたり荒川グループについたり…要は日本人が好きな用心棒モノのアレンジ。

結論からいえば、他の小杉勇作品同様、67分が長く感じるテンポで刑事物だというのに緊張感もなくダラダラ…。

かといって簡単に駄作と言い切れないものが小杉勇作品にはあるような気がする。どう指摘すればまだ分からないけど、独特のテンポの悪さ間の悪さ、盛り上がらない演出にも独特なものがある。下手なんじゃなくて私が分かっていないのでは?と思わせるところとか。
さらに言えばどうしてこの人は俳優から監督に転向しようと思ったのか。

本作は14作も続くシリーズの第一弾。全作観るのは苦行のような、小杉勇の核が見えて好きになるかもという期待もあったり…まあ時間があれば観てやろうかな程度の偉そうな心構えであります。

(以下ネタバレ)

途中、アメリカの警察における潜入捜査の話が出てきて、ああやはり丹波哲郎は警察のイヌか、となるけど結局逮捕されて終わり。ああ次作へ続くんだなと思ったら、次作のキャスティングに丹波哲郎の名前がない…だったらどういうつもりで用心棒な行為をやったんだ、ヤツは!?
……でもそういう動機不明なところは結構好き。本作で私が評価出来るのはこの部分だけ。

*藤岡重慶の情婦が「そういうのを”ストレス”っていうらしいわよ」と言うセリフがあって、当時はまだ馴染みのない言葉だったことが分かる。