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八つ墓村のmondayflyerのレビュー・感想・評価

八つ墓村(1977年製作の映画)
5.0
【初】ずっと観たかった。
「祟りじゃあ〜」で有名な松竹の金田一耕助映画。
広く知られているのは東宝の、市川崑監督、石坂浩二演じる金田一耕助。TVドラマだと先日亡くなられた古谷一行も有名。

こちらの金田一耕助は寅さんの渥美清。作者の横溝正史が、主人公は犯人だし被害者だから、探偵は狂言回しのようなものと、二枚目ではない方が良いと、渥美清の方が原作に近いとすすめたとかいうエピソードもあるらしい。
監督は野村芳太郎。市川崑とは全然違うタイプ。
演出のスタイルが素人目にわかるくらい違っている。時代設定も当時の“現代”。航空旅客機と古い村の対比もエッジがきいている。
エンドクレジットを見ると、いくつかの鍾乳洞で撮影されたらしく、鍾乳洞のシーンはそのせいかスケールの大きさと複雑怪奇さが相まってセットにはない迫力があり観ごたえがあった。

面白い事にこの作品では、トリックの謎解きはほとんどない。アリバイ的な謎解きもほとんどない。因果とか因縁とかが紐解かれていってゾクリとする物語。エピローグで渥美/金田一耕助が言う「だから途中で調べるのを止めました」と。ちょっと『残穢』を思い出した。でも、この作品にはこのスタイルがハマっていると個人には思った。謎解きばかりがミステリーでもないだろう。

それにしても、小川真由美とか山本陽子とか市川悦子とか、雰囲気のある女優さんが今はいないように思う。男優だって渥美清、萩原健一、山崎努などなど雰囲気のある方々が少なくなった。
それで少し理解った事がある。
最近の邦画の弱さ。
求められる女優は幼い男性の目線でカワイイ、キレイな女優。
求められる男優は幼い女性の目線でカッコいいイケメン男優。
大人の艶っぽさというか雰囲気のある女優さんや、男臭くて格好の良い雰囲気のある男優さんが圧倒的に少ない。こんな感じだと将来悪役も脇役もみんなイケメンでカワイイ子ばかりの映画ができるかも。個人的には観たくないな。
閑話休題。

この作品のエンドクレジットで他の映画ではあまり見ない変わった事があった。
監督のクレジットが他のスタッフに並んで途中で表示されていた。多くの映画だと、
「監督 ○○○○○」
と終わりの方にクレジットされるので少し驚いた。

個人的には発見もあったので5点。
オススメ度は3点。
但し、謎解きミステリーを期待するのであればオススメはしません。
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