グスタフ

シンドラーのリストのグスタフのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
3.0
100%ユダヤ人被害者観全開の作品です。もちろん、監督がユダヤ人のスピルバーグなのでそれも当然なのですが、ドイツ社会がここまで一方向に進んだ根本的な理由について一切触れないことは、決して今後のジェノサイド抑止に貢献するものではないことを、私たちは確認しなければなりません。潜在的に、ユダヤ人虐殺を許容する民意がドイツ国民の中に存在したことは無視できない事実なのです。
その原因はやはり、ユダヤ人が地域コミュニティの反感を買うような商行為を自省なくおこなってきたからであり、非常に乱暴に言い換えれば、「カネの力で他人を支配してきた」ユダヤ人が、「暴力で支配された」ことに他ならず、実は、真理としてどちらが正義とも悪とも判別しがたいものがあります。
ユダヤ人は人種ではなく宗教コミュニティなので、遺伝子的な優位性などあろうはずもなく、世界中で学業・経済・芸術すべてにおいて成功する彼らの根底にあるのは経済力です。全世界でわずか1400万人たらずのユダヤ人が、事実上世界を支配している現状と本作品をリンクして観れば、おそらく今起こっていることと未来が見えてきます。