生命体ではない車の擬人化に抵抗感があって観るのを避けていたけれど、いざ観たらなかなか良かったです。特にCGのクオリティはさすがピクサーという感じ！アリゾナ・ユタ一帯は最も好きなドライブルートなので、モニュメントバレーとザイオンを組み合わせたような風景と、その映像の美しさにワクワクしました。架空の田舎町ラジエーター・スプリングスの背後にそびえるギザギザの山は、キャデラック・ランチの車のモニュメントを模したものと一目瞭然。モデルとなった地域のものを遊び心たっぷりに取り入れた点も個人的にツボでした。お話はいわゆる成長物語で、一連の出来事を通じて主人公が友人や今までと違う価値観を得るというもの。ありがちな展開なのでこれが人間のキャストだとベタ過ぎて見ていられなかったかもしれません。観る前は子供っぽいかなと思っていたけど、登場キャスト全てが車という徹底ぶりが良い方向に効いていると思いました。車の型式やカラーと、キャストのキャラもよくマッチしてました。ただ、レースシーンの結末、あれだけは納得できないですね。ゴールまであと数メートルのところであえて止まる意義がどこにあったのかなと。勝負における敬意とは最後まで人事を尽くすことだと思うので、あそこで止まって引き返すのではなく、ゴールしてからはしゃがずにキングの元へ駆け寄るほうが良かった。それを差し引いてもおもしろかったけど。
