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ブロンクス物語/愛につつまれた街のyassoonのレビュー・感想・評価

3.9
映画The Holdoversに出演しているダヴァイン・ジョイ・ランドルフがVarietyの「最近泣いた映画は?」というインタビューにこの作品を挙げていて(「好きな映画を5本挙げて」というインタビューにも結構クラシックな作品を挙げていたのが気になってた)、まだ観ていなかったため鑑賞。副題「愛につつまれた街」…うーん、そうだった?後半は憎しみが増幅する街になってたような。

ブロンクスの少年カロジェロの9歳から17歳までの物語。父ロレンツォと、思いがけない事件から親密になった地元の顔役ギャング、ソニーとの関係がカロジェロの語りで進んでいく。

ブロンクスといえばリトル・イタリーとヒップホップというイメージ。お話のスタートが1960年で1968年までなので、もちろんヒップホップは無いのだが、それまでイタリア系の人達中心だった街に他の人種が入ってきて、街の文化としては豊かになる一方でそれを快く思わず排斥しようとする動きが起こる。その相対する2つの人種の壁を越える愛。

オールディーズとドゥーワップ、JBやビートルズまで作品の中に音楽が常にあったのは楽しかった。

ギャングのソニーを街の必要悪と描いており、カロジェロの事を自分の息子のように大切に思っているのは伝わってきた。一日中汗水垂らして働くバス運転手の父親より、何してるか分からないけど人を軽く動かして金も力も持っている楽しそうなソニーが子供の目にはそりゃカッコよく映る。でもそれで早く死んじゃったら何にもならないもんなぁ。細く長くか、太く短くか。まぁ、キッズ4人組が一番ダメなのは異論なし。考えて生きよう。

ロバート・デ・ニーロ初監督作品なんだね。30年前のデ・ニーロも強いところも弱いところもあって良い。今も全く変わらない差別問題の起きるきっかけの「あいつら最近なんかムカつく」を描いていたのが好感持てた。イタリア人も移民で差別されてただろうから、そんな自分が見下せる対象を探していた点も大きいだろう。当時どんな感じだったのかをうかがい知れて興味深かった。
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