ねこたす

打撃王のねこたすのレビュー・感想・評価

打撃王(1942年製作の映画)
-
アカデミーノミネート作品リストを埋める為に鑑賞。
伝記映画とたかをくくっていたが、良い話だった。

題材は、ニューヨークヤンキースで連続試合出場記録を打ち立てたルー・ゲーリッグ。
日本で言えば衣笠さんなのだが、国民的なスターという意味では王さんや長嶋さんの伝記映画みたいなものだ。

恵まれない出自から、野球の才覚を発揮しNYYに入団するまでになる。母は安定した職に就かせようとし、コロンビア大学まで入学する。進路に迷うが、母の治療費の為NYYと契約することにする。

チームメイトであり、ライバルでもあったあのベーブ・ルースが本人役で出演していたり、当時の野球の風景を撮影していることもあり、ある意味記録映画としても貴重だ。

なにより、両親との触れ合いや献身的に支える妻エレノアとの夫婦生活も丁寧に描かれる。
真面目な男ゲーリッグが国民的に愛されていたのも理解できる。

2000試合を特別に考えていない姿や、記録を自らの手で止めるゲーリッグ。
今でこそ40歳を超えても野球を続けるのが珍しくない世の中であるが、1920年代や30年代において30半ばで野球を続けるのは大変だっただろう。
そんな彼を襲った病気。アイスバケツチャレンジやホーキング博士で知られるALSだが、この映画の公開でその存在が知られ「ルー・ゲーリッグ病」と呼ばれていた。

死去から1年でこの映画が製作されたというスピード感も驚きだし、その完成度もまたさすがハリウッドという感じである。
ねこたす

ねこたす