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口笛が流れる港町のkuronoriのレビュー・感想・評価

口笛が流れる港町(1960年製作の映画)
5.0
渡り鳥シリーズ第二弾!
第一弾の「ギターを持った渡り鳥」のDVDは何処かへいってしまった(泣)。
なので今回、いろいろ確認をとらずに書いてますので、いいかげんです(笑)。

主人公は元刑事で、今は流しのギター弾きの滝伸次。
♪あー あ〜あ やんなっちゃった
♪あ〜あ ああ 驚いた
のウクレレ弾きは牧伸二。
この設定は裕次郎の「赤いハンカチ」と共通してて、でも…どう関連してるのか詳細を忘れてしまった。
警察辞めてギターの流しになるという設定は、最初裕次郎のところに持ち込まれて、「それはちょっと…」となって、それをベースに渡り鳥シリーズに変わった…のだったかな?

「赤いハンカチ」は、想い人の父親である容疑者を撃ち殺してしまった(?)自責の念から警察を辞めて、厭世的に流しのギター弾きになって盛り場をさ迷う…という流れなので、ちょっと重い。

よく似た設定だけど、「渡り鳥シリーズ」は、ギターと拳銃だけしか荷物を持たずに、革ジャンにブーツでスカーフ巻いて、ときには馬にまたがって、日本全国気の向くままに旅しながら、高い歌声とキザな台詞で周りを煙に巻きつつ、抜撃ち早撃ちの拳銃で悪を倒して去っていくわけです。

一緒になって拳銃撃ちまくって悪を倒してたのに、何故かボスを倒したタイミングでやってくる警察ににっこり笑って逮捕されるのは宍戸錠だけで、小林旭の滝伸次は何のお咎めもなく、超絶美少女の浅丘ルリ子の涙を背に次の町へと去っていくのです。
(…まあ、次の町にも、苦難に陥っている浅丘ルリ子(別人設定)と、ちょっとニヒルで人好きのする悪党宍戸錠(別人設定)が待っているわけですが、それは置いといて。)
これはきっとね、映画には出て来ないところで、滝伸次がこっそり事件の経過を逐一地元警察に報告してるんですよ、やっぱり(笑)。警察OBとして。
とすると、「シェーン」にみせかけた「水戸黄門」ですね。

さて、一作目の冒頭は、干し草を積んだ馬車の荷台に寝転んで登場しました。
今回は、遥かむこうの岩だらけの斜面を馬に乗って左から右へと降りて来て、こちらへ向きを変え、のんびり馬を歩かせ手前まで来たところでカメラをパンさせて右側まで行くという長回しで登場。
もうあからさまに西部劇です(笑)。観客が「何故に馬!?」と思った瞬間に、離れ駒を捕まえて牧場を探しているという説明的な台詞のやり取りがあります。
もう「ワシは西部劇がやりたいんだもんね!とにかくそういうことだから、宜しく!」という監督のメッセージがビンビン伝わって来ます。
それでも一作目の「ギターを持った渡り鳥」は、まだ、遠慮がちでした。いわゆる「渡り鳥シリーズ」的なノリのルーティンが始まったのは、二作目の本作「口笛が流れる港町」からです。
そしてうまいことそれを開始するべく、細心の注意をしつつ作られているのが本作の面白さだと思います。

なんで宮崎が舞台であからさまに日本なのに、出てくるやつ出てくるやつ普通に拳銃持ってるんだ?とか、いろいろ疑問は抱くのですが、本作の1番の謎は、「港町」が全然出て来ないところ(笑)。
なんだろう?
製作中に誰も何にも言わなかったのかな?
全然「口笛が流れる港町」じゃないんですけど?
鉱山の利権の話で山ばかりですよ?
もしかして、歌の方が先にあったのかな?
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