モジャーヌベイベー

稲村ジェーンのモジャーヌベイベーのレビュー・感想・評価

稲村ジェーン(1990年製作の映画)
3.3
私の生い立ちにとても縁のある作品です。
私は鎌倉の出身で、母方の実家は江ノ島にありました。幼い頃は、海が身近な存在として常にありました。
その頃、祖母から言い聞かされた事の中に必ず守るようにと口を酸っぱく言われた事は、
「お盆を過ぎたら海には決して入ってはならない。入ったらそのままご先祖様に連れて行かれてしまう。」でした。
私をはじめ、地元の子供たちは皆なんだか恐ろしく言いつけを守りました。
今考えればそれはとても理に適った話であり、お盆を過ぎると波が高くなり危険なのだ。水温も下がり、クラゲも沸くし、海は生身の人間が立ち入るには厳しい場所へと姿を変えてしまうのです。

この映画が上映された頃からだと思うが、江ノ島をはじめ海には、サーファーが溢れた。彼らは良い波を求めてお盆を過ぎてもいつ迄も海に漂っていた。
なので、数年に一度サーファーが波にさらわれて死ぬ事故があった。僕らはよそものがわきまえないからそうなるんだ。という感覚を共有していたと思う。(怖いw)
劇中、20年に一度やって来るというビックウェーブ。私はそれを想像できる。それは、どす黒い死のイメージと共にやってくるのだ。

追記
私が初めて自分のお小遣いで買ったCDが、本作の主題歌「真夏の果実」だった。
名曲なのは間違いないのだが、当時思春期真っ只中だった私はそれを『ジャケ買い』したのである。ジャケットに描かれた果物。その断面に甘美な大人のにおいを感じたのだ。(恥