自家製の餅

ハモンハモンの自家製の餅のレビュー・感想・評価

ハモンハモン(1992年製作の映画)
3.8
これが90年代のスペインにとってどういう位置づけなのかは気になるところだが、低予算ながら良いB級映画としてかなり楽しめた。

スペインというより、アメリカ南部の砂漠みたいなロケーションで、縫製工場で働く娘シルヴィアと売春宿らしきバーのママをやる母(と幼子たち)。
その縫製工場の上に立つであろう下着メーカーの御曹司ホセ・ルイスの恋仲が話の中心なのだが、いわゆるロミオとジュリエット的な格差恋愛が事の発端である。ホセ・ルイスの母が、男を仕向けてシルヴィアを誘惑するうちに男女の関係性の糸がほつれにほつれ…(という点では、縫製工場がメタ的に効いてくる。ファッションとしての下着という衣服の下に、隠しきれない本能があるという点もメタであった)。
あり得ない交錯も、辺境スペインのさらなる辺境であることを思えば違和感はさほどない。

シンプルな生活に人を無視できずに会えば段々好きになる田舎の人間関係。
闘牛がやりたくて全裸で忍び込んだり、轢き殺してしまったペットの子豚を丸焼きにしてごちそうにしたり、生のニンニク齧ったりと素朴さが魅力的であった。
それにしてもシルヴィアの母よ…なぜ。

無意識にハモン・セラーノを食べながら観た。そう書いて思い出したけど、おっぱいの味を訊いてふたりの男が似たようなこと言うのもあれなんだったんだ(爆笑)。