それぞれのシークエンスは刺激的で面白かったのだが、シーン同士のつながりが断片的で、中盤は没入感に欠けた。少し構成が理性的すぎるのか。それでも、身近な人間が死んだことで腐敗という現象に関心を持つというのも説得力があるし、それによって齎されるラストの展開は面白かった。
ただ、作られた世界観であるのが見え透いていることが覚める要素ではある。それでも全体を通してみると、なぜか安心した雰囲気というか、妙に落ち着いた印象を醸し出しているのが不思議であり、それがこの映画の魅力でもあるのだろう。
腐敗映像集は非常に面白いので、もっと長時間観たい。ちゃんと骨になるまで撮影されているのが魚だけしかなく、シマウマもちゃんと骨になるまで見たかったのだが、さすがにそこまで撮影するのはいろいろな問題があって難しいのだろうか。