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破れ太鼓のyoichiroのレビュー・感想・評価

破れ太鼓(1949年製作の映画)
3.5
10月29日 DVDで鑑賞
木下恵介監督が、時代劇スターの阪妻を初めて現代劇に起用した、ホームコメディ。一代でのし上がったワンマン社長とその家族を中心にしているが、現代劇の中で浮きそうな阪妻の古めかしいキャラクターが、この封建主義、男尊女卑の権化のような主人公に上手くハマっている。そんな父親に振り回される家族達をほのぼのコメディで描いているが、今だったら毒親話になるかもしれない。
キャストの顔ぶれが多彩で、一家の次男坊を演じる若き大泉晃がこの当時では珍しいと思われる"ヘンなキャラで笑いを取るイケメン"として異彩を放ち、政略結婚させられる長女と恋に落ちる若い画家をこれ又若い宇野重吉だが、笑顔が息子の寺尾聡そっくり(厳密には逆ですが)で今なら吉岡秀隆みたいなオーガニックな爽やかキャラ。この画家一家が、阪妻一家とは対照的な、バイオリンを弾く滝沢修と画家の東山千恵子という浮世離れしたアーティスト家族で、このコントラストが笑いを呼ぶ。
色々あって、自分を省みた主人公が家族と和解するラストは、恐らく戦前の家父長制批判をこめているのかもしれない。
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