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7月4日に生まれてのPのレビュー・感想・評価

7月4日に生まれて(1989年製作の映画)
3.8
「俺は一生生きて、車椅子でベトナムを思い出させる」
パレードのシーンがいたたまれなくて、つらすぎる(T_T)つらいシーンの応酬。傷を負った描写が濃ゆくて目を背けたくなる場面も多いです。
障害者や、戦争(特に敗戦)に関与する者に(そんなもんを見せるな、思い出させるなよ)という目を向け蓋をしたがる、都合の良いものだけを見せろと思う人間の部分はほんとに罪深いと思いました。故国に帰り「間違いを思い出させる」シンボルのような存在になってしまった主人公ロンのお話。
聖女と対比されることの多い娼婦ですがこのつらい世で娼婦がマリアさまみたいな、そういうのあるよなぁ。聖なるものは俗なるものの中に住んでいる。

アメリカ青年の象徴みたいな顔したトムクルさんがこの役をやるのはベストなくらい映画の力が増したであろうキャスティングでした。傷ついた心のロンがほんとに老けちゃったように見える。
指導者・権力者に意見するだけで国を貶した!国民である自分までもが侮辱された!嫌なら出ていけ!と勘違いする人は多い。どの時期のロンの描かれ方も丁寧で愛国者のそれがしっかり描かれていたと思う。突き落とすのも救うのも人間。つらく苦しいだけの映画じゃなかった。
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