fujimi

人生劇場 飛車角のfujimiのレビュー・感想・評価

人生劇場 飛車角(1963年製作の映画)
4.0
飛車角と吉良常が初めて顔を合わせクロースアップされる二人の顔が映し出される場面がとても印象に残っている。
この映画には侠客の美学というものがある。東映任侠路線の始まりとも言えるこの映画もやはり、ヒロインを置いてけぼりにする男とホモソーシャルな状況が描かれている。女は蚊帳の外だ。
高倉健がこんなに軽い感じの役をしてるのに衝撃を受けた。硬派なのはなんとなく伝わってくるが軽い…。
人力車の車輪越しの高倉健…何割か増しでかっこよく見える…。
冒頭でおとよが飛車角に逃げようと言ったのと同じことを、今度は高倉健がおとよに向かって言う。この構造からわかるのは、この映画における高倉健が女性的な役割を付与されているからではないか?

この後のヤクザ映画で描かれるような男同士の友愛を直接的に描くことはないが、鶴田浩二と高倉健という同じ女を愛してしまった男たちが最期は別々だが同じ敵に殴り込みをかけるというのがこの映画の美学なのだと思う。

飛車角が最期殴り込みに行くとき、逆光で不気味な青色の画面が登場人物たちの顔をまるで死人のように映し出す。
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