Mii

喜劇王のMiiのレビュー・感想・評価

喜劇王(1999年製作の映画)
4.0
この映画はコメディのうわべに包まれた悲劇である。

ラストは滅茶苦茶だけど、正月上映に合わせるため臨時手直した。本来はそれも悲劇の設定だった。

コメディとして鑑賞し、見終わったあともコメディだと感じた人は、この作品の表現したいものを理解出来てないだろう。社会のどん底にいる人々のありさま。

チャウ自身にも実際にあった長い暗いエキストラ時代、なかなか演技とは思えない素晴らしい表情をたくさんみれた。

チャウがやっとの主演役に恵まれた時、高ぶる様子がなく、ただ淡々と「毎日お弁当食べれますか」。周りは大笑い。私はただ泣きたくて、彼の真剣な表情にどうしても笑えなかった。

クズの初恋相手にホステスをやらされたセレウスチャン。綺麗な上演技も上手い。特にタクシーでの泣きシーンは悲しみが詰まった。

この映画、男子は無言で、女子は涙ながら最後まで見終わる。チャウの作品の中で、ピークであるに違いない。

良いコメディほど悲劇の核心を持っている。なぜかコメディアンのほとんども、うつ病患者である。

これで“もう一回みるのに勇気が要る映画”が増えた。
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