ユウ

東京原発のユウのレビュー・感想・評価

東京原発(2002年製作の映画)
3.6
東京に原発を誘致すると言い出した都知事と都庁職員たちとの間の抜けたやり取りや、彼らが巻き込まれる事件を描いた物語。

公開年は2002年だが、本作の問題提起はまったく古びていないどころか、今だからこそ観るべきとも言えるような先見性を持っている。
「人間は、過去のことはすぐ忘れる。終わったことには関心がない。」長ったらしくない、潔い捨て台詞がよい。

名役者たちが揃い踏み。その中でも、役所広司の存在感とカリスマ性が光る。

すっとぼけた会話は笑かしてくれるけれども、視聴者側の認識もそんなもんなわけで、また、現実の政治家の認識も似たり寄ったりかもしれない。
現実の写し鏡というか、警告というか、笑うだけでは済まされないブラックコメディになっている。

画の構成も、セリフまわしも、オチのつけ方も、とても日本らしい映画。
長らく語り継がれるべき名作。
ユウ

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