Maaaaa

いまを生きるのMaaaaaのレビュー・感想・評価

いまを生きる(1989年製作の映画)
4.0
今よりもちょっと前に観ていたら、キーティング先生の授業に100%共感して、彼のやり方を「正しい」と信じて疑わなかったと思う。間違いなくあこがれていた。

もちろん今でもあんな授業を受けたかったという気持ちは100%あるし、彼の主張には激しく同意する。

ただ、この映画を観て1番感じたのは「恐怖」だった。
良し悪しは別として、「親」「教師」という、子どもの人格形成に大きな影響を与えうる存在の怖さ、そして
生徒たちの素直すぎるがあまりの危うさともろさが怖かった。

キーティング先生の授業によって殻を破って自由を得ていく生徒はたくさんいるが、あまりにも簡単に感化されていくようにも見えて(もちろん彼らがキーティング先生のような人を求めていたとのこともあるし、解放ともとれるが)ちょっと危険にも感じた。

キーティング先生は、生徒たちに伝えたいこと、自分の意志がはっきりしていて、それはとても素晴らしいことだしその内容も本当に素晴らしいものだと思う。

でもそれを伝える相手が、生徒たちであるということ、素直ゆえの繊細さと、迷いなく真っ直ぐ信じ進みすぎるこわさをはらむ生き物であるからこそ、気を抜いてはいけない瞬間もあるのだと個人的には感じた。教育における教師個人の主義主張のバランスの難しさを思った。

彼の授業には「反対の意見」「主義の違うものの主張」がはじめから排除されていたような気がする。
それらを提示した上で、自分たちが選びたいものを選んでもいいんだよ、という余裕を与えることができたら、別の結末になっていたもしれない。
ある意味、自分の心を守るための術を得られたというか。
「周りは変わらない」という非常に消極的な理由から得られるものだが。

でも、そもそものそもそも、先生と子どもたちにそこまでの心の広さと聡明さを求めなければならないのは、大人たちにそれができないから。
大前提として、自分たちの子どものことを見ていない親たち(子どもを想っているふりをして子どもの気持ちを理解していない親たち)、学歴至上主義な学校の運営陣がこの結末を招いたと言って相違ない。

なんか上手くまとまらなかったが、人をつくる、という意味での教育について様々考えさせられた。
Maaaaa

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