かずき

レナードの朝のかずきのレビュー・感想・評価

レナードの朝(1990年製作の映画)
3.8
2017.1.8 鑑賞。
心に残るところの多い作品。
俳優陣は素晴らしく、短髪に眼鏡の髭面という医者のステレオタイプのような外見でも、ロビンウィリアムズの優しくも儚げな目の光は隠せない。そして無垢の中に戸惑いや悲しみを含んだ複雑なデニーロの笑顔が胸に迫る。
健全な20歳の精神を宿しながらも、人並みの生活を許されないレナード。淡い恋心すら叶うべくもない。
失った人生を取り戻した者が再びそれを奪われる様は痛切で、だからこそ絶望の中でも自身を研究材料として差し出すレナードが一層哀れに思われる。中でも食堂でのダンスが美しくも悲しい。ピアノの旋律の中、発作に震えながら歩き去るレナードの背中がただただ切ない。
人間の尊厳、当たり前の日常の有り難さ、大切な人を想う気持ちなど、さまざまなことを感じさせられる作品だった。
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