ぉゅ

切腹のぉゅのレビュー・感想・評価

切腹(1962年製作の映画)
-
2022年 鑑賞 22-167-19
BS松竹東急 銀座よる8シネマ にて
滝口康彦先生の小説「異聞浪人記」を原作に、「怪談」「上意討ち 拝領妻始末」等の小林正樹監督による、彦根藩井伊家の上屋敷に津雲半四郎(仲代達矢さん)と名乗る浪人が現れ「切腹のためお庭拝借」と申し出て、生活に困窮した浪人が「切腹する」と言っては、庭や玄関を汚されたくない人々から金品を巻き上げることが流行っており、家老の斎藤勘解由(三國連太郎さん)は千々岩求女(石濱朗さん)という浪人に切腹の場を設けてやると言い出し、その状況を聞いた半四郎の復讐を描いた、武家社会の虚飾と武士道の残酷性などの要素をふんだんに取り入れ、かつて日本人が尊重していたサムライ精神へのアンチテーゼがこめられた時代劇作品。私如きには到底スコアは付けられないと判断したため、スコアは遠慮させていただきます。

ー 武士道精神か建前武士道か ー
「潮騒」「金閣寺」「憂国」などの小説の作者といえば、三島由紀夫氏。私の亡くなった父も好きだったそうで、彼の著書も多くあったらしい(母談。ほとんどは生前に友に貸して返ってきていないそう)。そんな三島由紀夫氏が影響を受けたという作品がこの作品。私も持って行かれるのか?...

“金をやって帰せば またその違う者が玄関先にやって来る 入れ代わり立ち代わり まるで砂糖の山に蟻が群がるように 江戸の町々浪人どもでウジャウジャ溢れておる 家を求めて咆哮する飢えた山犬だ”
モノクロ作品。何が理不尽なのか?切腹するする詐欺で金品をせしめようとする輩か?それをわかっていて、切腹を強要、せざる状況にする家老一行なのか?あと、●●での切腹って、かなりグロい... ●を●●シーンもなかなかの... でも、胸糞さは分かっていて敢えて求女が所持している刀で切腹するよう強要した勘解由。また、沢潟彦九郎(丹波哲郎さん)に介錯を求める求女に対し、彦九郎がとった行動こそが胸糞。この場合は、求女は悪だが、勘解由や彦九郎はより大悪だと感じた。

“ほほぅ 揃いも揃って3人が本日に限って押しつかえあるとは“
半四郎から勘解由らの知らなかった求女の事実が... 求女は半四郎の娘婿、半四郎の娘で、求女の妻の美保(岩下志麻さん)、求女と美保の間に男の子金吾を授かる、貧しくとも幸せな暮らし、だが美保と金吾は病で求女は医者代を... 求女の●●での切腹で死、金吾は... 、美保は泣いて泣いて泣いて... 、泣きじゃくる半四郎は復讐を...

“(求女が行ったことは武士として言語道断だが) 千々岩求女に対する当井伊家のなさり方 もう少し方法があったのではござらんかな これだけの方々がおられて誰一人として(理由を聞く者はい)なかったのか?“
半四郎の冥土への土産... 3つの髷... 特に半四郎 対 彦九郎の戦いが印象的。風がいいスパイスに!音楽もいいっ!半四郎のあの格好、なるほどぉ〜と唸る!

“井伊家の御家風も所詮 武士の面目の上辺だけを飾るもの はははぁ”
浪人1人 対 井伊家の部下何十人。もうそれだけで武士道とは言えない... そして決着はまさかの... ここまで行ったら完全なる井伊家の恥だし、全てを隠し通す辺りが、現代とも通ずる。それだけ日本の上層部の成長が出来てないんだな... 切腹って美学でも悲劇でもなく、ある意味胸糞に感じた私だった。おそらく私は引っ張られなかったと思う。
しかしなんですなぁ、時代劇とあって豪華!仲代さんから、岩下さん、丹波さん、三國さんに、井川比佐志さん、松村達雄さん、小林昭二さんと私の好きな俳優さんの若かりし姿も観ることができましたし、あの殺陣の観ることが出来た!観た?あの部下たちの表情!

「よくぞ血迷うた 拙者褒めてやりたい 求女ほどの男でも土壇場に追い詰められれば妻子故によくぞ血迷うた」
ぉゅ

ぉゅ