切腹の作品情報・感想・評価

「切腹」に投稿された感想・評価

Gaijin

Gaijinの感想・評価

3.8
映画があなたを誘惑する最初の感情は、強力な武士の一族の中にあるこの厳しいドラマの息をのむような、閉じた性格です。ほとんど不動のフレームは、何も呼吸しない崇高な視覚俳句からなる窒息感と深刻さの感覚を強める(主人公とナレーションの記憶を除いて)。映画の演劇的側面は不可欠であることを示している。したがって、映画のメッセージは簡単に解読できます:閉じた古風な社会の基礎をなす原則の妥協のない批判です。一族に救済を求めるために来た貧しいロニンの貧しい運命を目の当たりにした後、私たちはそれぞれの人と各状況の既得可能な特異性を考慮に入れずに、名誉綱領の馬鹿げさと頑固さの実証にまっすぐ進みます。問題は負荷の重さです。イメージが私たちに語っていることをすでに理解しているときには、すべてが強調されています。ダイアログは単調で、時には無限大です。このような理由から、大気圏に入ることが許されている演劇的側面は、どこからでも水のように流れるすべての言葉に影響を与えます。あまり緊張することなく。柔らかすぎます。しかし、全体の華麗さが残っています。稀少な強さのシーンが巧みに演出されています : 風に吹かれた丘の決闘は、すべての最後の戦い、木製の刃を持つ残酷な切腹。
武士道を貫いた侍の最期として切腹がある。それは侍というものがいなくなってからもずっと日本に残り続けていた考え方だ。そういう武士道としての考え方に強い怒りと悲しみをぶつけた作品。

にしても、役者の演技がお見事。仲代達矢のあの劇画からそのまま出てきた様な面構え。回想シーンでは強面ながらも優しい顔つきなのだが、それ以外では絶望に満ちた浪人の表情を、そして最後の殺陣のシーンでは今まで抑えてきた怒りが顔に宿る。繊細な表情表現とはまた違う、圧倒的な迫力に満ちた表情の演技。彼しかできない代物だろう。

「潔く自決」などというものは本当は美しさのかけらもない。千々岩求女が竹光で腹を切るシーンがそのことを強調している。それが誰かからの強要ならばなおさら許されて良いものではないのだ。この映画では「主人公の復讐」をメインにしているが、これは個人的なものとして描いてはいない。そういう「潔く死ぬのが美」というような、その歪みきった武士道に対する絶望と怒りなのだ。どれだけ泥臭かろうが惨めだろうが、生き抜くことが人としてのあるべき姿。仲代達矢の最後の殺陣のシーンは決して美しいとはいえない。しかし、這いつくばりながらも死に物狂いで戦う姿はまさに人が生きる姿なのだと思う。

しかし、その主人公でさえ切腹という最期を迎えることとなる。彼もまた武士道という名のしがらみから逃れることが出来なかったのだ。ある種呪いのように人の価値観を支配しているこの考え方の恐ろしさもまた、この映画は描こうとしている部分なのだろう。

第二次世界大戦での沖縄戦などでも多くの日本人は自害していった。日本人の根本にはそういう「潔い死」に対する美学というものが残っていたのだろう。戦争というものを経験したからこそ、そのような行動に人々を至らせた根本的な考え方に対する監督の憤りがこの映画には込められている。そして、それから逃れることのできない悲しみもまた描いているのだ。
M

Mの感想・評価

4.8
なにやらおもしろいらしいと聞きDVDにて鑑賞。

天下泰平の世、主家を失った素浪人(仲代達矢)が食い詰めた挙げ句、
もはやこれまで、井伊家の庭先で切腹をさせろと門を叩くが…
といったような話ではあるが、いやこれがとんでもなく見応えがある!

モノクロ映像の迫力、役者の演技もすばらしい。
仲代達矢のギラついた目。丹波哲郎もどちらかといえば悪役だが非常に見栄えがする。
岩下志麻はやはり大変な美人なのでお歯黒すら美しく見える…
みんなにこの映画を観てほしい。

もしハリウッドでリメイクしたら(なわけないけど)あの甲冑着て戦う(そして勝つ)んだろうなー
なんてバカな考えが頭をよぎりました。
凛太朗

凛太朗の感想・評価

4.4
武士である前に人間。

封建社会に植え付いた武士道精神に対する儚きアンチテーゼであり異色の時代劇。

座して死を待つくらいなら、いっそ潔くこの腹掻っ捌いてどうのこうの。よかったら屋敷の庭先を貸してはくれまいか?っていう武士道の潔い美徳を逆手に取って同情を買い、金品をせしめようとする武士の風上にもおけない不届きな浪人がいるもんで、ではお望み通り庭先をお貸ししましょう。介錯はこちらにお任せを。ってなり、帯刀していた刀を鞘から抜いて見てみたら、まさかの竹光(竹を削って刀に見せかけたもの)。
浪人は死の間際になって一両日の暇を頂きたいと申し出るも、家老は武士に二言はないで御座ろうとか言っちゃう。
そして竹光を無理矢理腹に突き刺して割腹。
斬れ味の悪い竹光では中々腹を十文字に裂くことができず、介錯をと申し出るもこれを聞き入れてもらえない陰湿っぷり。

痛いし怖いしもう。
製作陣はこの時の竹光と音楽担当の武満徹をかけてジョークにしていたらしいけど、笑えないよ。

しかし、この出来事が後に大問題に発展。この後屋敷を訪れ、切腹すべく庭先をお借りしたいと申し出た老浪人津雲半四郎(仲代達矢)は、竹光で切腹した千々岩求女(石濱朗)の育ての親であり、娘の美保(岩下志麻)の夫であった。

家老の斎藤勘解由役である三國連太郎さんの陰湿っぷりや、竹光ではなくガチもんの真剣で文字通り真剣勝負をやった仲代達矢と、沢潟彦九郎役の丹波哲郎の緊張感漂いまくる迫真の対決シーン、屋敷内での殺陣、そして海外では悲劇美として賞賛される竹光での切腹シーン含む武士道に対してのアンチテーゼや、求女や半四郎の背景にあった悲惨な現実等々、名作に違わぬ見所満載の映画。

武士道云々嘯いてる輩が、髷を刈り取られて家に引きこもったり、一人の老浪人によって人が何人死んでようが、体裁を保つために病死扱いにしたり、そら半四郎も笑います。そんなんで武士道とかちゃんちゃらオカシイわ!つって。
へい

へいの感想・評価

-
大人数での切腹パワハラに笑ってしまう。
こんな死に方は嫌だ。

俳優の目力、半端ねぇ。仲代さんの淡々とした口調の迫力に驚かされた。
大勢に斬られそうになった時の、必死で「待たれい!」と言った時は覇気が出てると思う。

仲代さんと丹波さんの決闘シーンは漫画より漫画。緊張感がひしひしと伝わる。ラストの暴走した姿も荒々しい。
ららら

らららの感想・評価

4.0
すごかった。仲代達也さんの鬼気迫る演技から目が離せなかった。
Ken

Kenの感想・評価

4.3
面白かった。全体に漂う緊張感が半端じゃない。
カメラの構図が確かであればあるほど、それが緊張感に繋がる。
やまう

やまうの感想・評価

4.6
男蛇の面を潜めた浪人の気で斬り倒してしまいそうな殺気と満を持して出るX剣法。

正に息を呑む緊迫感。

この応対が出来れば現代社会において無敵。
tarouman

taroumanの感想・評価

4.5
池袋新文芸座 追悼橋本忍

仲代三国の緊迫感ある問答は古来からの応対辞令のお手本のよう。名手橋本忍の冴えを十分に堪能できる。
ピシッとエッジの立った硬質な映像に立居振舞も美しい役者陣の重厚な演技。
仲代の殺陣の変な構えだけはご愛嬌だが、一スジ二ヌケ三ドウサのお手本のような作品。
仲代の「ほほーーう」が癖になる。眼福仕り候。傑作。
yuka

yukaの感想・評価

4.1
脚本がおもろいとはこういうことだよね、、たぶん

仲代達矢の目と声には今更驚かないけど、三國連太郎のロートーンの演技には驚いた
三國が居るからこそ最後が締まる
このバランスも良い

岩下志麻のお化け顔はさすがにちょっとやりすぎだしあのあたりが一番緩んでて眠くなった

しかし終盤のすさまじい殺陣からラストまでが最高
家紋に血を擦りつけながら死ぬモブなどの怒涛の演出にニマニマが止まらない

最初はなんこれ?としか思えん甲冑が最後に同じようなかたちで出てきたときにはその意味の重さで全然見え方が違うことに大興奮し、傑作たる所以を確信
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