星降る夜にあの場所で

モンテ・ウォルシュの星降る夜にあの場所でのレビュー・感想・評価

モンテ・ウォルシュ(1970年製作の映画)
4.0
明日からDVDレンタルが始まるようなので☆

キャス・エリオットが歌う「Great Times Are Coming」がオープニング・クレジットで流れる。
以後、音楽はノスタルジックなこのメロディのアレンジのみで全編が包まれます。
目まぐるしく発展する東部の文明に飲み込まれつつある西部を舞台にした、時代の流れに身を任せられない、というより任せようとしない鼻っ柱は強いが仲間思いな一人の馬追い人の生き様を描いた秀作(ホークスが撮る予定だったのも頷けるシナリオ)。
見所はたんまりあるのですが(1つだけ。リー・マーヴィンが暴れ馬を手なずけるシーンはハンパないです!町一つを破壊しちゃうじゃないかと思うほどの暴れ馬に、今現在の切ない思いの丈をぶつけるように立ち向かうマーヴィンの姿がぶち泣けます…)、ここではあくまでもジャンヌの役柄に関してチョロっとだけ(本作のメインテーマではありません)…

モンテ(リー・マーヴィン)には愛する女がいた。
マルティーヌ(ジャンヌ)もモンテを愛していた。
モンテの髪が伸びると、マルティーヌはマイはさみを使ってモンテを散髪する(これが、切ない伏せんとなっています)
マルティーヌが務めているミュージックホールは、時代の流れと共に寂れていく。
生きていくのもままならなくなったマルティーヌは、この町を離れることに…
そんな中、共に歩んできた相棒が金物屋の後家と一緒になってしまう。
それを機にモンテもマルティーヌとの結婚を真剣に考え、近い将来消えてなくなるであろう薄給の牧童から足を洗おうとも思っている。
ある日高給の仕事が舞い込んできたのだが考えた末に断ってしまい、今の仕事でコツコツ金を貯めるから待っていて欲しいとマルティーヌに告げる。
複雑な胸中のマルティーヌはそれを承諾するのだが…

元々ジャンヌの唇は口角が下がっているので、笑った時にそれがキュッと上がるのが堪らなくキュートなのですが、本作ではどこか悲しげな笑顔ばかり(後半部分で、その笑顔の意味が判明します)。
先日upした「エヴァの匂い」、現在上映中の「天使の入江」、トリュフォーの秀作「突然炎のごとく」などとは真逆の、愛に対して一本芯の通った健気で愛らしいジャンヌが堪能できます。
彼女が残した数々の名言から推測するに、プライベートのジャンヌは本作のような女性だったように思えてならない。

心よりご冥福をお祈り申し上げます…