SHOHEI

東京ゴッドファーザーズのSHOHEIのレビュー・感想・評価

東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)
3.4
東京でホームレス生活を送る元競輪選手のギン、オカマのハナ、女子高生のミユキ。3人はゴミ捨て場に捨てられていた赤子を拾う。不幸な境遇に同情したハナは赤子に「清子」と名付け育てようとするがギンたちに説得され親を探すことに。手がかりの写真をもとに街中をさまようが…。

ホームレスたちが主人公の一風変わったコメディアニメ。設定は結構辛辣でホームレスだから臭いとか、以前は太っていたミユキが浮浪者生活によって痩せていたり、そのあたりの生活描写は抜かりない。江守徹はじめ、声をあてる芸能人たちの演技も上手い。また脇役は山寺宏一、大塚明夫、小山力也、こおろぎさとみ、能登麻美子と豪華。絵面が渋いので実写映画のようなフィクションラインの線引きがされていると思ったが意外とリアルを無視した演出も多い。線路に立ち入ったら大問題だし、終盤のカーチェイスは本来ならば主人公たちも罰せられているだろうがそのあたりはお咎めない。「奇跡」と片付けるには非現実的。セリフの言い回しももう少し良いやり方があったのではと感じる場面も。例えば救急車のために救急車を呼ぶギャグシーンでは隊員の言うセリフがボソボソして聞き取りづらく笑えない。幸子の夫が「あれは俺の子供じゃねぇよ」と告白する場面はあまりにも彼らの家庭環境がギスギスしていたために「幸子と別の男の間に産まれた子供だよ」という意味で誤って捉えてしまった。「俺”たち”の子供じゃねぇよ」でよかったのに。ところでなぜ身元の分かるものをロッカーに入れ、わざわざそのキーを清子に身につけさせていたのだろうか。ストーリー自体は起承転結があって面白いのに細かいところがノイズになって素直に楽しめなかった。
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