まい

東京ゴッドファーザーズのまいのレビュー・感想・評価

東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)
3.5
初めて見る今敏監督作品が、「東京ゴッドファーザーズ」と「パプリカ」の二本立てとはまた豪華なラインナップで楽しんでしまいました。書きたいことが沢山あるので、ちょっと長めに書きます。
まず、「東京ゴッドファーザーズ」の感想ですが、アニメーションは言うまでもなく素晴らしいです。一度見ただけでも、演出の細やかさに目がいきました。クリスマスという華やかな時期のお話ではありますが、映画の中のカラーパレットは落ち着いてテーマに沿っていて良いなと思いました。
映画的な偶然やハプニングが繰り返されるわけですが、それが物語ダレさせることなく進めさせていたと思います。強引とも取れるかもしれませんが、そこが本作のポイントなのかなとも思います。
そう言うこともあって、とてもテンポが良い映画でした。このお話の主人公はギン、ハナ、ミユキの三人だと思うのですが、三人の関係性が上手く描かれていたと思います。中でもギンの描写は一番丁寧に描かれていたのではないかと思います。他の二人に関してはもっと掘り下げされても良かったのかな、と思うところもありますが、主人公三人の内の一人であるギンに焦点を絞ってキャラクターを掘り下げることで、一つの映画作品としてまとまりが生まれたのかなと思います。
そういう点でいえば、このお話自体が映画というよりも、テレビシリーズ向きなのかなと感じました。作中には魅力的なキャラクターが沢山登場しますし、テレビシリーズであれば映画の中でカバーしきれなかった部分も扱えるのではないかと感じました。特にこの物語のクライマックスに深く関わってくるある人物については、もう少し焦点を当てた方がお話としてまとまりが更に良くなりそうな気がします。でもエンディングは好きです。
更に細かいところを言えば、ハナちゃんのミスジェンダリングとも呼べそうな問題が作中でギャグとして扱われ、軽視されてるのではないか、とか思うこともありますが、2003年公開の映画としてはハナちゃんの表象は日本のアニメーション界では進んでいた方なのでは、と感じました。だからといって問題ないわけではないですが。
興味深いなと思ったのがお芝居の演出です。ざっくりといってしまうと実写のお芝居っぽいに感じました。ほんとの人間が話しているみたいで、吹替とか一般的なアニメーションのお芝居に慣れている自分としては台詞が聞き取りづらいところもありましたが、敢えてなのかと思います。
あと、感想というより気がついたこととして、山寺さんの声がいろいろなところで聞けました。兼役たくさんあるのでは。回りのキャストさんも豪華でした。
とても面白かったです。ほぼ4に近い3.5です!
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