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祭りの準備のmaruseiのレビュー・感想・評価

祭りの準備(1975年製作の映画)
4.2
この作品、タイトルからして何か自分のアンテナにピンと来るものがあった。
その直感はやはり当たった。

真夏の地方の小さな村を舞台に、嫌という程、血縁と地縁に翻弄される青年主人公タテオ。
そして娯楽の少ない昔の地方の小さな村故のタテオの性に関する強い好奇心とそれをまた翻弄するかのような周囲の人々の赤裸々な性。
いやはや、凄い…主人公タテオの家族からして既にキテいる。父親は外に女を作り連日帰って来ず、村ではその父親との交際を巡って港の労働者の女達は服がはだけるほど取っ組み合いの喧嘩までする始末。
そんな父親の血を引いていることを引け目に思っているタテオ。しかし、やはりタテオもまた日々、自分の抑えきれない性への衝動に悶々として暮らしているのだ。

このタテオの近所の家族も更に凄い。
まずは強烈に存在感を放っているのが原田芳雄!私は今作でこの原田芳雄の存在感に改めて驚愕した。こーゆー役をやらせると原田芳雄のクオリティの高さはなぜピカイチなのかっ⁈主人公が霞んでしまうほど強烈。もはや役作りではないな、これは…。
原田芳雄の妹が大阪からヒロポン中毒で頭がおかしくなり帰って来るのだが、それをやむを得ず家に置きはするが放置の母親。
あっという間に事は展開して行き…んー、凄いなこの展開は。
タテオのおじいが出て来るとはっ!

竹下景子はこんな役もやっていたのね〜。
なんだか楳図かずお漫画の美少女に似た顔立ち…と思っていたら、え!そんなシーンもやっちゃっていいの?清純派では?と焦った。

作品全体の雰囲気というか色味というか、じっとりした空気感と人間関係が閉塞感いっぱいの小さな漁村に濃厚に詰め込まれていて私好みでたまらない。

ラストの原田芳雄の万歳シーンが私の中にとどめを刺した。
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