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ブルゴーニュで会いましょうのunepistのレビュー・感想・評価

3.0
ワイン造りへの情熱を失ってしまった醸造家の父親と、伝統に反発して家を飛び出した後にワイン批評家として成功を収めた息子の2人を中心とした家族の絆、そして捨てきれない大地への愛情を描いた物語。
フランス映画らしい、淡々とした日々の生活を描いた脚本の上に、登場人物たちの家族やワイン造り、そして大地に対するさまざまな愛情の形が描かれます。その中でも大地に対する想いは、ブルゴーニュの地でワインを造り続けてきた家族にしか理解し得ない複雑な感情で、この物語の主題とも言えるでしょう。代々受け継がれた大地を、そしてその上に脈々と続く一族を愛しているからこそ、ブルゴーニュの醸造家たちはワインを造り続けることができるのかもしれません。大地=家族なのです。
季節や天候に応じて、ガラリと表情を変える大地の美しい描写が印象的で、ときに写実的に、またある時は芸術的に切り取られた風景は醸造家たちが向き合ってきたものを雄弁に伝えてくれます。この映画の主役は大地だと言っても過言ではありません。
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